固定資産税はなぜ取られすぎる?

 なぜこんなに「固定資産税の取られすぎ」が続出するのか。私は大きく3つの理由があると考えている。

 1つ目は「役所の人たちも人間だから」だ。人間が作業している以上、ミスは発生する。減額する特例措置の対象なのに、そのことを忘れてしまった──、これだけで課税額が数倍になることも珍しくない。前例踏襲の中でミスが放置されるケースもある。

 2億円近く取りすぎていたことが発覚した某自治体の担当者は、「古い話なので、最初にどんなミスがあったのかわからない」と話す。実際、取りすぎが始まったのは40年前とみられ、その間、担当者の間でどのように引き継がれてきたか不明だという。

 また、途中で前任の先輩のミスに気づいてしまったけれど、住民側は気づいていないーー、そんな状況に自分が立ったと想像してみてほしい。あえてミスを指摘するだろうか。先輩のミスなのに、自分が代わりにその尻ぬぐいをする覚悟までもてるだろうか。

 自分の担当期間だけやり過ごそう、という気になってしまうのは人の性。ミスを発見した人間が積極的に評価される仕組みを作るべきだが、発見して自治体の税収が下がったり、巨額の返金やお詫びにつながったりするわけだから、それも非現実的だろう。

 2つ目は、「個々人の固定資産税はプライベートな情報であるから」だ。マスコミなど第三者が外からチェックすることは難しい。巨額の裏金や利権などをめぐる闇であれば、たとえ個人情報だとしても徹底的に追いかける報道機関もある。だが、個人の1件1件をチェックする労力を割くことは物理的に不可能だ。

固定資産税の計算の基準となる、資産価値の評価自体が適切でないおそれも
固定資産税の計算の基準となる、資産価値の評価自体が適切でないおそれも
【写真】固定資産税が大幅に減るかも! 減額措置の条件を説明した表

 最後の3つ目は、「どのように計算した結果かの説明が十分でないから」。「○○○円納めてください」というお知らせからは、一体どのように自分の資産が評価され、そこからどのように納税額が決められているかわからない。だから住民側が「おかしくないですか?」と突っ込むのが難しい。

 専門用語やお役所言葉を除いたわかりやすい説明が必要だと思うが、残念ながら、都合の悪い情報ほど難しく書かれているのが世の常だ。

固定資産税の納税までの流れ

(1) 資産価値の評価
 資産の評価額が決まる。評価は妥当かチェック!

(1) 資産価値の評価
(1) 資産価値の評価

(2) 実態を踏まえ計算
 特例措置などを踏まえ、評価額から課税標準額を算出。一般的な税率は、課税標準額×1.4%。計算ミスをされていないかチェック!

(2) 実態を踏まえ計算
(2) 実態を踏まえ計算

(3) 納税額の通知
 通知内容をチェック!

(3) 納税額の通知
(3) 納税額の通知