資産の相場観を調べるには

 資産価値の評価は納付書からはわかりづらい。評価には、駅からの距離・道路の広さ・周辺環境などの多様な要因が影響する。自治体側が、どういった要因をどの程度評価に反映して算出しているのか、詳細な説明がないからだ。そして先述のとおり、そもそも不動産の評価は素人には難しい。

 そんな分野で素人が役所に対して適正額を突き詰めようとしても、さまざまな専門用語・業界用語を羅列されギブアップしてしまうだろう。

 しかし、私たちにも「相場観」を調べる方法が1つある。それは「ご近所さんやほかの市内の不動産との比較」だ。

 例えば、数年に1回しか買わないパソコンや携帯電話など、いまいち相場のわからない物を買うとき、同種の品同士を比較していないだろうか? それと同じことを自宅に関してもすればいいのだ。

 固定資産税の通知を受け取り始める4月から1~2か月くらいは、自治体内の各地の評価額を役所で見せてもらうことができる。これを「土地及び家屋価格等縦覧帳簿の縦覧」制度などという。

 この制度で近所や同じような地域、同じような家屋の固定資産税評価額を見て比較する。そうすれば、不動産のプロフェッショナルではなくても、「高い・安い」を感じることはできる。

 もちろん、厳密に調べるには専門的な知識や見識が必要だが、何もしないよりはるかにマシだろう。

 やり方をまとめてみた。流れはシンプルだ。

(1)まずは役所に電話して、「固定資産税評価の縦覧用の帳簿を見たいので担当課につないでほしい」と伝える。
(2)帳簿縦覧台帳を見せてもらえる期間やそのために必要な本人確認資料を確認する。
(3)役所の担当課を訪ねて、地図と突き合わせながら各土地の帳簿を見せてもらう

 (1)~(3)を経てチェックしたあと、疑問に感じる点があれば、役所の担当者に「なんでウチの評価額は○○より高いのですか?」と聞いてみよう。ひとりひとりがこうしたチェックをすることは、自分のためだけでなく、「チェックに来る住民がいる」という役所への注意喚起にもなる。