ついつい結果が気になる

 そして、長寿の中の長寿番組が、NHKの『のど自慢』だ。

「『のど自慢』といえば、一般の人が歌声を披露する一般参加型の番組。一般の人が出るので親しみやすさもあるのが特徴です。その点では27年間放送している『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)にも共通するものがありますね。身近にいそうな人たちが主役になると、つい結果が気になってしまうのが、一般参加型番組の魅力です」(野呂さん)

 たしかに、惰性で見始めたのに鑑定団の査定結果が気になっていつの間にか1時間たっていた……という経験をした人も多いはず。

 また、長年テレビの現場に携わっている野呂さんは「長寿番組の存在が当たり前になりすぎて、危うく内容がかぶりそうになったことがある」と、振り返る。

「あるバラエティー番組の企画会議で、プロが価値をつけるというコーナーをみんなで考えていたんです。そのときに僕が『プロの鑑定士が骨董品に、みんなが見ている前で値段をつけるなんてどう?』と提案して、いいね! なんて盛り上がっていると、若いスタッフに『野呂さん、それはなんでも鑑定団です』と言われて大爆笑(笑)。長寿番組は、それだけ自分たちの中に溶け込んでいるのかもしれません」

 無意識のうちに、私たちには長寿番組のDNAが刷り込まれているのかもしれない。

 また、51年続いている『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)には、さまざまな長寿の理由が。

『新婚さんいらっしゃい!』。クセのある素人さんに対し、桂文枝師匠だからこそ仕切れる司会ぶり
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「『新婚さん〜』は、一般人が参加するうえに、桂文枝師匠が新婚夫婦をどう料理するのか、名人芸も見ものです。ノロケ話を聞いてイスからズッコケたり、真っ昼間からキワドい話をしたり、文枝師匠の独壇場。長寿番組の条件がそろっています」(野呂さん)

 長寿番組という観点ではずせないのがアニメだ。中でも『サザエさん』は51年続く定番中の定番。

「アニメに関しては、絶対にキャラクターが年を取らないですよね。『サザエさん』はコンテンツ的にもかなり強くて、子どもからお年寄りまで楽しめるという作品は、なかなか生まれません。

 また、子ども向けというよりは、テレビが娯楽だった中高年以上の視聴者が“古きよき昭和”を懐かしむ要素が強い。『水戸黄門』ばりの時代劇になっているからこそ、今も続いていると考えられます」(野呂さん)