<噂5>
mRNAワクチンは人為的に作られたもので、人間のDNAを改変する

 アメリカではこの話を信じた薬剤師がワクチンを容器ごと常温で放置し、効果を失わせ免許停止処分になった。

「簡単にDNAについて説明しますと、細胞の核という部分に入っていて“人のつくり方”が書いてある設計図の本のようなものと思ってください。それをもとにしてタンパク質を組み合わせて、身体のさまざまな部分を作っていきます」

 核とはいわばDNAを守っている金庫のようなもの。その中で皮膚なら皮膚、髪の毛なら髪の毛の設計図の部分をコピーし、そのコピーしたものを使って核の外で作っていく。

「今回のmRNAワクチンは、コロナウイルスのスパイクタンパク質の設計図を細胞に送り、作らせるもの。このmRNAというのは非常に脆くて、体内では長くても半日くらいで壊れてしまいます。

 壊れやすいうえに、DNAは核で守られていて、そこからコピーは出せますが、逆に情報を差し込むことはできません。一方通行なんです」

 作られたスパイクタンパク質も、10日ほどでなくなる。だから、長期にわたっての影響もないという。

「人のDNAを変えるなんて、そんな簡単にできることではありません。可能だとすれば、タバコを吸うこと(笑)。喫煙によってDNAが傷つき、がんなどを引き起こします。そちらのほうを心配してほしいです」

 ワクチン接種が進む中、最終的にワクチンを打つ、打たないは個人が決めること。悩んでいる人に木下先生はこんなメッセージを。

「若い人で重症化する人が少ないというのは事実です。でも感染して長期間の味覚障害などの後遺症が出ることもありますし、高齢のご両親などにうつしてしまい、それが原因で亡くなるという可能性もあります。

 今回のワクチンは非常に有効性が高いです。できる限り多くの人が速やかに接種することが、長引く緊急事態宣言や日本経済の停滞を終わらせるためには必要なことだと思います

木下喬弘(きのした・たかひろ)/救急専門医、外傷専門医、公衆衛生学修士。日本のHPVワクチンに関する医療政策研究で、'20年にハーバード公衆衛生大学院卒業賞を受賞。『こびナビ』の副代表を務める。
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《取材・文/蒔田稔》