東京出身というだけでアドバンテージが高い
デザイン会社に勤務しながら3歳の女児を育児中の奈緒美さん(仮名・32歳)も、東京出身のママ友に羨ましさを感じると言います。
「私は短大を卒業後、上京してバイトをしながら専門学校に通って、デザインの仕事を始めました。仕事で知り合ったフリーランスでPRをしているママ友のMさんは、映画や音楽など趣味の話が合って、一緒に子連れでランチに行ったりするようになりました」
岐阜県から上京したという奈緒美さん。上京するまでは、美術館やミニシアターと呼ばれるような単館上映の映画館などに行ったことがほとんどなかったそう。
「ママ友のMさんは、練馬区出身。本人は『練馬がいやで、港区に住んでいる』と冗談を言ったりするのですが、私からしたら東京出身っていうだけでもう、最初のアドバンテージが高いんですよ……。Mさんの子どもは小学生ですが、子連れで美術館に行ったり、器に興味があるらしくて骨董市に行ってきた話をしたり。一緒にカフェに行ったときも、『ここら辺は近所だから、ノーメイクで来ちゃうこともある』と言ってきて、なんだか余裕があって羨ましいんですよね」
また、地元の地域センターに行ったときに疎外感を抱いたと話します。
「まだ赤ちゃんを産んだばかりのころ、誰かママ友が欲しくて乳幼児向けのイベントに行ってみたんです。そこは、私より少し若いママ達のグループがもうできていて、元から知り合い同士でした。そういう人たちが中央の席を陣取っていたため、私が座るスペースは端のほうに……。育児に関する悩みなどを相談したいと思って来たのですが、ママ友の輪に加わることができず、その後は行かなくなりました」
知らない土地での慣れない育児は、孤立してしまうことがあるといいます。ただ、ママ友は職業や年齢など置かれた環境も違うため、なかなか親しくなるきっかけも難しいようです。そんな中、奈緒美さんにとってMさんは唯一といえるママ友です。