せっかくなら楽しまないと
何通りもあるという中で、高良が選んだ演じ方とは?
「ずっと栄一の横にいた喜作が、だんだん自分の意思を持って栄一との距離が離れたり近づいたり。そういう部分を丁寧にやりたいなと思っています。見続けてくれる人が、楽しんでもらえる芝居になっていたらいいですね」
高良自身、撮影を楽しんでいると笑うが、今回はコロナ禍というこれまでとは違う状況での撮影。ドラマのスタートも前作の放送日程が大幅に変更されたため、大河史上初の2月放送開始となった。
高良は「大変なのはスタッフ。僕たち俳優は気を遣われているほうです」と言うが、リハーサル中もマスクをしたまま、相手の表情は本番まで見えない中で撮影は進んでいるという。
「確かに、どんな表情をしているかがわからないのは困るというのはありますけど……。新鮮な気持ちで本番に臨めるというか、楽しいですよ。こういう状況だし、せっかくなら楽しまないと、と僕は思っています。
ただ、キツイなと思うことは、みんなとご飯に行けないこと。これまではそこでコミュニケーションがとれていたのに、今はできないので。主演の吉沢くんとも行きたいねと、ずっと話しています」
撮影現場が楽しい、と思えるのは吉沢亮(27)の存在も大きいという。
「彼は正直で素直なんですよ」
“バディ”として共演シーンも、ともに過ごす時間も多い高良は、吉沢の魅力をこう語る。
「演技の力強さとキレのよさ、それとセリフの発し方がいいですよね。吉沢くんの中で、もう栄一というキャラのリズムができているんですよ。あと、彼は芝居を高尚なものにしすぎていないというか、どこか遊び心があるんです(笑)。
大河を見ている人たちも感じていることだと思うけど、吉沢くんの演じる栄一という人物が華やかじゃないですか。栄一というキャラの演じ方は、いろいろあると思うけれど、彼のような見せ方は、簡単そうにやっていますけど、なかなかできないと思います」
感情を表に出して知らず知らずに周囲を巻き込んでいく─。そんな栄一を演じる吉沢の“素顔”を高良に聞いてみると、
「すごくおとなしくて、恥ずかしがり屋ですね。騒ぐタイプではないし、僕が話しているほうが多いかな。そんなときでも、ちょっと本心を隠してくるというか、はぐらかしてくるんです(笑)。でもそこに邪気はないから、話していて面白いんです」