女性は男性よりも早くから受け取れる

 ところが、女性は事情が違うという。以前は定年になる年齢が男性より女性のほうが早く、それに伴い年金も早く支給されていたため、男性より5歳早く受け取れるように設定されているのだ。

 そのため、女性は今年56歳以上の人ならもらえる。また、その年代の女性にはさらに年金を増やすいい方法が。60代前半に受け取るこの年金を65歳からの生活費に充て、そのかわりに65歳からもらえる一般的な年金を繰り下げるのだ。すると、繰り下げた分、受給額が増えるので老後資金を確実に増やすことができる。

 この年金は60歳から64歳の間にもらえるのだが、ちょっと複雑なのは、その人が何年に生まれたかによって受け取り開始の年齢が変わってくる。60歳からもらえる人もいれば、64歳にならないともらえない人もいる。ただ、いずれにせよ、自分がもらえる年になると必ず日本年金機構から「年金請求書」が入った書類一式が送られてくる。それが手続きスタートの合図。

 男性でいえば、今年63歳の人に誕生日の約3か月前に書類が届くはずだ。それより下の61歳と62歳の人は来年以降に書類が届くので、それを待っていればOK。

 女性は今年62歳の人に去年書類が届いているはず。今年56歳から61歳の人は62歳以降の受給開始なので、来年以降に順次届く。

「ボーナス年金」がもらえるのは、男性今年61歳以上(昭和36年4月1日より前に生まれた人)、女性今年56歳以上(昭和41年4月1日より前に生まれた人)(イラスト/浜田哲郎)
「ボーナス年金」がもらえるのは、男性今年61歳以上(昭和36年4月1日より前に生まれた人)、女性今年56歳以上(昭和41年4月1日より前に生まれた人)(イラスト/浜田哲郎)
【写真】「ボーナス年金」がもらえる対象者

 私、もしかしたらもらい忘れてるかも……と思ったあなた。あきらめる必要はない。

たとえ請求し忘れていても5年を経過していない分なら遡って支給してくれます

 男性64歳以上、女性63歳以上で、厚生年金に1年以上入っていて「特別支給の厚生年金」を受け取った記憶がなければ、もらい忘れているかもしれない。まずは「ねんきん定期便」を確認したい。

「ねんきん定期便が手元にある人は『老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)』の左から3番目を見てみてください。そこに金額が印字されていて、もらった記憶がないなら請求し忘れている可能性があります」

赤枠の場所に金額の印字があって受け取った記憶がなければ、もらい忘れている可能性も!
赤枠の場所に金額の印字があって受け取った記憶がなければ、もらい忘れている可能性も!

 あるいは最寄りの年金事務所や年金相談センター、ねんきんダイヤルに問い合わせて、未受給の年金があれば早めに請求を行おう。

 限られた年代の人だけがもらえる「年金の特別ボーナス」をもらい損ねるなんて、なんとも悔しい。ぜひこの機会に確認を。

教えてくれたのは……●山崎俊輔さん●ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。お金に詳しくない人にもわかりやすく、親しみやすい老後資金の増やし方を説明するエキスパート。

(取材・文/濱田麻美)