ちなみに今年、森に帰ったコアラは?
「例えば、2020年はうるう年だったので、<うるう年コアラ>がいたのですが、2021年は違うということで入れ替えました。あとは『謎のコアラのマーチ』という商品の中に入っていた<探偵マーチ><怪盗コアラ>は、商品がなくなった関係で絵柄もなくなりました」
いなくなったコアラたちには二度と会えないのか聞いてみると、
「戻ってきたケースはないのですが、チャンスがあれば今後も戻ることはあるかもしれません。もしお声をいただければ、復活もあるかなと思います」
とのこと。これらの絵柄は、名前などは非公表ではあるものの、発売当初から専門のデザイナーが手がけているという。
実は「レア」な絵柄はない
そんなコアラのマーチ、やはり気になるのが「レア」な絵柄。やっぱりレアな絵柄は、そもそも生産される数が少ない? と思いきや、意外な返答が。
「基本的には、365種類の絵柄はすべて同じ割合でプリントされているんです。コアラのマーチは、まず、ビスケット生地にペタペタとカラメルでコアラの絵柄をプリントしていき、それを焼いたものにチョコレートを入れ、包装するといった工程なんですが、その際、絵柄はランダムに選ばれ包装されていきます。なので、実は“レア”な絵柄というのはないんです」
なんとも驚きの答え。1988年ころには、女子高生を中心に<まゆ毛コアラ><盲腸コアラ>もブームとなったが、
「当時は絵柄の数も24〜48種類と母数も少なく、今よりも出る確率は高かったはずなんです。それでも女子高生を中心に“レア”な絵柄として話題となったと聞いています」
そもそも、絵柄に名前がつくようになったのも、そのブームがきっかけだったという。
「当初はコアラの絵柄を単純にプリントしただけで、〇〇コアラという名前はついていませんでした。でも<まゆ毛コアラ>や<盲腸コアラ>といったお声をお客様からいただいて、弊社としてもそれぞれ絵柄に名前をつけて管理していきましょうという話になったんです」
SNSのない時代に、口コミだけであれだけのブームを巻き起こし、会社側にも影響を与えてしまうとは、驚きだ。
「まゆ毛コアラは、もともとラッパを吹いたコアラの“シワ”がまゆ毛としてとらえられて<まゆ毛コアラ>となりました。盲腸コアラも転んでできたお腹の傷が盲腸の手術痕のように見えるからそう呼ばれるようになり、どれもお客様の見間違いから話題となったんです。
口の横にできたシワが見間違えられて<鼻血コアラ>なんて呼ばれるようになった絵柄もあります。名前をつけるようになったのも、お客様に気づかせていただいた結果なんです」
消費者の声とともに、歩み続けてきたコアラのマーチ。可愛いだけでなく、遊びゴコロもたっぷりなところが、子どものみならず、大人からも愛され続ける理由の一つかもしれない。
「コアラのマーチはビスケットの中にチョコレートが入っているので、夏場でも溶ける心配がありません。お子さんはもちろんですが、しばらくコアラのマーチを手にしていないという大人の方にも、ぜひ絵柄を楽しんでいただければと思います」
今後、コアラはどんな変化を遂げるのかーー。見届けていきたい。