セクシーキャラは大きなフリになった

 ヘミングウェイは、その予言めいた能力から教祖のようにあがめられていく……。まつり上げられる恐怖を感じたことはあるかと尋ねると、

「めちゃくちゃありますね。それこそ先日、この作品の番宣で出た番組でも、現場のカンペが“共演してドキドキした女性は?”を執拗にずっと出してくるんですよ。事前に提出したアンケートではいろんなことに答えていたんですが、結局そこを使いたいんだなっていう。

 僕はベースの目線が“スーパー視聴者”なので気持ちはわかるんですけど、当事者でもある。もちろんニーズあってのこの世界なんですが、白濁した何かをどれだけ受け入れられるのか、とは常々思います

 てっきり『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』('14年)でのブレイク後、セクシーキャラとなったことを挙げるのかと思ったが、

いや、それはそれで僕は楽しかったです。“壁ドンやって”っていうオーダーに対し、カメラのおじさんに向かってやる、みたいなことは結構続いて(笑)。ひとつ、そんなシンボリックなカラーをいただくと、むしろ次が見えたというか。それまでは、誰にも届いてない前提で仕事をしていたような感覚があったんですが、どこ行っても“こういう人”と認証していただけて。その後のバラエティーの出方なんかも、それが大きなフリとして使えたので(笑)」

 “本当の自分はそうじゃない”という違和感は、斎藤自身も意外に思うほどなかったと振り返る。

やっとつかまえられた石だったら、そこにぐっと体重を乗せ、反対の手を伸ばす。それによって、またちょっと次のところに行けた感じはしました