刑事と言ったら誰!?
作品のランキングとは別に、『刑事ドラマで思い浮かべる俳優は?』のアンケート結果も興味深い結果となった。
「1位の水谷さんはうなずけますね。でも意外なのが、2位の内藤剛志さん。田村正和さんや、織田裕二さんで上位を占めるかと思っていましたが、内藤さんが多くの票を集めましたね」(田幸さん)
内藤が主演している『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)は、作品ランキングでは40代で12位、50代でランク外、60代で10位だった。
「いろいろな刑事ドラマに出ているという印象なのかも。この結果は役者としてうれしいと思いますよ。作品のキャラクターとしてではなく、“刑事”という存在として思い浮かべているというのはすごいことだと思います」(田幸さん)
4位、5位には渡哲也さん、松田優作さんの名前が。
「このおふたりの役者としての実力は、誰もが認めるレベルで、まとっているオーラが半端ないです。見ているだけでワクワクして、引き込まれます」(田幸さん)
どの時代でも視聴者を夢中にさせてきた刑事ドラマ。最後にその魅力を田幸さんはこう語る。
「かつては勧善懲悪のスッキリ感にその魅力があったと思います。悪い人が捕まり、裁かれるという流れ。でも近年だと『MIU404』や『相棒』のように、勧善懲悪だけではない、個人や社会の問題が背景にある、複雑な事情があることを考えさせられる人間ドラマが増えてきました。
刑事ドラマは、いろいろな罪が描かれるからこそ、犯人の背景や人生が描かれた深い人間ドラマの部分が今はいちばんの魅力になっていると思います。これからも、上質な人間ドラマが刑事ものの中に増えてくると思います」
PROFILE●田幸和歌子(たこう・わかこ)●ドラマコラムの執筆や、ジャニーズウオッチャーとして活動。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など
(取材・文/蒔田稔)