無症状でも、後遺症だけが重くなるケースも

 では、後遺症の症状が改善する方法はあるのか。

「まず、前提条件として、だるくなることをしない。運動はいっさいダメ。読書やテレビ観賞だって、倦怠感を招く場合もある。通勤・通学も1時間以上かかるならNG」

 そのうえで、『上咽頭擦過療法(じょういんとうさっかりょうほう)』を行う。これは、塩化亜鉛をしみ込ませた綿棒を鼻とのどの両方から直接、上咽頭にこすりつける方法で、保険適用の治療法。さまざまな後遺症の改善・緩和に効果的だといわれていて、

「週1、2回この治療を行って、経過をみていきます。大変だと思いますが、ヘタをすれば一生引きずる病気になりかねないんですから」

 感染時は無症状でも、後遺症だけが重くなるケースもあるという。コロナを風邪やインフルエンザ程度だと軽視するのは、大間違いなのだ。

 さらに、ワクチンを接種してもコロナ感染する『ブレーク・スルー感染』も増加している。感染対策も緩めてはいけない。マスク着用、手洗い、3密を避けつつ、

「私は鼻うがいをおすすめしています。感染を防ぐのに有効な手段ですし、もし感染したとしても、症状が軽くすむことが多いです」

 コロナの本当の脅威は、感染時よりも後遺症にあるとも。宿主を殺さず、生ける屍に変えてしまうのだから──。

平畑光一院長/昨年3月に「新型コロナ後遺症外来」開設以来、延べ1500人以上もの患者を診てきた。近著『新型コロナ後遺症 完全マニュアル』(宝島社刊)