ファンが期待するあのシーンが!!
共演者たちと試写室でできあがった作品を見たときに「面白い!!」という声が次々に上がった。
「自画自賛で気持ち悪いかもしれないですね(笑)。でも、すごく面白かった。撮影から時間がたっていたので客観的に見ている部分もありましたが、よかった。毎年、1回くらい映画を撮ってもいいんじゃないかと思うくらい撮影も楽しかったんです」
作品のファンの中には土門とマリコの“相棒以上、恋人未満”の関係にドキドキしている人が多いはず。今作にも、そんなことを感じてしまうシーンが。
「そうですよね(笑)。マリコの元夫にはじめて会う場面もあります。ただ、やっちゃん(沢口)と決めていることが2つあるんです。土門がマリコを“おまえ”と呼びますよね。その“おまえ”という言葉から、なにか男女の特別な関係性を感じてしまうようになったら、呼び方を変えようと思っています。それは、見ているみなさんというより、演じている僕らが感じたらということですが」
三角関係以上の四角関係になる!?
マリコのことを唯一、“おまえ”と呼ぶ土門。ということは、特別な関係になることが?
「もうひとつ決めたことがある。ドラマで土門が、かつて関係のあった女性が残したものを見て涙を流す回がある。
その土門を見ているマリコがどんな感情なのかやっちゃん(沢口)に聞いたら、“えっ!? 兄妹でしょ”とポンと言われました。“私はそのつもりで演じているわよ”と。そうかと思いました。
みなさんが、いろいろと想像して楽しんでくださるのは、作品の醍醐味でもある。土門とマリコを“ドモマリ”と呼んでくださっているようですが、いつか、ふたりのような関係を指す言葉として“ドモマリ”が使われるようになるといいなと思います」
実は、若村麻由美が演じる解剖医の風丘先生と土門とマリコの三角関係はどうかと、プロデューサーから尋ねられたことがあると告白してくれた内藤。
「結局、三角関係はなかった。今度は、そこに(科捜研の宇佐見を演じる)風間トオルさんが入って四角関係もいいかもしれないですね(笑)。そんなふうに想像していただけることがエンターテインメントだと思うんです。現実の男女の最終地点が恋愛であるとしたら、現実にはないことをやるのがエンタメ。だからこそ、理想や夢を語りたいじゃないですか」
撮影中に起こった事件はある?
事件ではないのですが、劇中で微生物学の教授・加賀野(佐々木蔵之介)がいる研究室が出てくるんです。そこが、舞台みたいに少し高さがあるセットで。芝居でその階段を何度も上り下りしないといけなかったのが年齢もあってしんどかった(笑)。今度、階段の上り下りがあるときは、「別ギャラで」って監督に言っておきます!!(笑)。
50年以上俳優を続けて思うこと
若い俳優さんから「刑事らしく演じるコツはありますか?」と聞かれたときに、「コツはない。演じる人間が魅力的に見えるべきで、それがたまたま刑事だった、でいいんじゃない」と答えるんです。66歳のいまになっても“演技とは何だろう?”“俳優とはなんぞや”と思うわけです。
土門という男を魅力的に見せること、あるいはストーリーを運ぶことが仕事ですよね。そのために刑事らしくするとか、役の履歴書を書いてみるとか、実際の刑事さんに会って勉強するとか、いろいろ方法がある。否定するわけではないのですが、そういうことが本当に俳優の仕事なのだろうかと考える。そして、よくわからないというのが結論です(笑)。
映画『科捜研の女 -劇場版-』
9月3日公開
配給:東映 (C) 2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会