サプリに配合され、“これが効く”としている成分についてはどうだろう。

ひざに関するサプリメントの代表はヒアルロン酸やコンドロイチン、グルコサミンですが、これらは『糖鎖』と呼ばれるものです。これについていろいろ研究してきましたが、ひざも含めた関節に関して言えば、骨の表面にあり、潤滑油の役割です。これらをサプリとして飲んだときに、消化酵素で分解されてしまい、身体の中には入っていかないと考えます

 これら“効く”とされる糖鎖は、食べ物でとるというよりは、身体の中にある遺伝子が必要に応じて細胞内で組み立てているものだという。

「身体の中にある材料で組み立てているものであって、食べ物から直接とっているものではない。このような生物学の基本もあわせて考えると、サプリとして錠剤のような形で飲んで、ひざの関節にそれら糖鎖がたくさん届いて、痛かったひざが、これによって治るということはちょっと考えられない。エビデンスも存在しないし、人間の身体の仕組みを考えてもありえないかなと思います」

サプリに含まれる“成分”は効くのか

 最近では、“グルコサミンだけでは足りない”とし、コラーゲンが効くと打ち出すひざサプリも多い。こちらは前述の糖鎖ではないという。

「コラーゲンもいろいろな効果があり、ひざの関節の痛みに効くとされ、機能性表示食品の代表のようになっている。しかし、食物や錠剤として飲んだときに、身体の中に一部入っていくというデータはありますが、ひざまで届いて、症状を和らげることを証明したデータはないです」

 コラーゲン以前は、ひざサプリは“グルコサミン”が多かった。

コロナ前くらいの時期にグルコサミン関連のサプリが多く発売された時期がありました。ところが、それらのメーカーが相次いて、機能性表示食品を辞退することに。そのきっかけは、グルコサミン関連のサプリメントをいくら飲んでも症状が改善することは認められなかったという否定するエビデンスが初めて正式な論文として出されたこと。それを受けて各メーカーも反論できなかったので取り下げたということがありました

 ひざ痛の原因の多くは、変形性関節症。軟骨がすり減り、炎症を起こした状態だ。

「論文は、変形性関節症と診断された人に2年間にわたってグルコサミンを飲んでもらって症状が改善されたか調べたもの。結果、効果がなかった、示せなかったという論文です。信頼度の高い論文で、だからこそメーカーも諦めたのではないでしょうか」

 通販番組などでは前述のような“文言”が必ず入る。

“個人の感想です”などもそうですね。エビデンスがあれば、そんなことは言わないはずです。きちんとした論文で効果が証明されましたと言えばいいわけで、むしろ“効果がない”ことの証明となっていますね

 岡田先生は、「信じて飲むことでプラシーボ効果でよくなることもあるとは思う」とする。しかし、“気の持ちようで多少効果があるかも?”な商品、あなたはお金を使って買いますか?