都心の一軒家が負動産になることも
■都心の一軒家を相続したAさんの場合
兄弟の意見の対立から、実家を売ることができずに時間だけが経過。空き家となった実家は日に日に老朽化していき……
私の実家は今でもずっと空き家のまま放置されています。1年前に亡くなった両親が遺してくれたのは、都心に立つ小さな一軒家。私には兄がいるのですが、実家の相続について話し合いが続いており、合意に至りません。
兄は生まれ育った実家に強い愛着を持っており、「長男である自分が実家を引き継ぐのが当然。いずれは老後をこの家で過ごしたい」と主張。
一方、弟の私は「実家は両親のものだったのだから、兄弟で分けるのが法律的に妥当。実家を売却してお金に換えるべきだ」と考えたのです。
意見の対立の原因には、お互いの経済的な事情の違いもありました。
兄の家庭は子どもたちがすでに独立していますが、私のほうは私立中学に通う娘と、受験を控えた小学生の息子がいて余裕がありません。私は相続した遺産を教育費に充て、家計の負担を少しでも減らしたいのです。
兄は「年間約30万円の固定資産税は全額自分が負担するから……」と言いますが、売りたい私からしてみれば、兄が負担するのは当然のこと。
私は「家は古くても土地はそれなりの価値があるので、売れるうちに売却してしまおう」と兄を説得していますが、親の実家にこだわる兄は納得がいかず、話し合いは決着が着かないまま1年が経過。
古びていく実家を横目に、もっと早くから話し合っておくべきだったと後悔しています。
【注】上記は過去の事例をわかりやすく編集したものです。
大切な親の実家。準備と心がけしだいで「負動産」にも、財産にもなるということを知っておきたい。