近視の人は多いと思いますが、眼鏡やコンタクトレンズを使えば視力を補うことは可能ですし、定期検診を受けて何か違和感があったときに眼科医に相談すれば、ほとんどの場合は失明を避けられるはずです。近視が原因で「視力が落ちる」ことと「失明する」ことはイコールではないのに、そう思ってしまう。

「不幸の盛りグセ」に注意

 欠点を必要以上に大きくとらえてしまうことは「認知のゆがみ」の一種で、拡大解釈と呼ばれています。私はこれを「不幸の盛りグセ」と呼んでいますが、身近な例で言うのなら、彼氏があなたではない見知らぬ女性と街を歩いていたところを目撃してしまったとします。これを「浮気だ!」と決めつけることが、拡大解釈に当たります。職場の同僚とばったり出会って一緒に歩いていたなど、いろいろ可能性はあるわけですから、結論づけるには早すぎます。「いい方向に考えろ」という意味ではなく、「すぐに決めつけない」「ワンクッションおいて判断する」ことがポイントです。

 今更こんなことを言ってもどうにもなりませんが、辺見マリのケースで言うのなら、えみりの失明が怖いなら、視力が落ちてきたとわかった時点で、眼科の先生に相談すれば、洗脳されて5億円もお金を取られることはなかったかもしれません。「いつもと違う」ことを「悪いこと」と決めつけるクセがつくと、今のように先が見えない時代は、「悪いこと」だらけに思えて、不安が強くなってしまうでしょう。

 拝み屋と出会った当時を振り返って、辺見マリは「離婚して、一家(子ども二人と両親)を養うのは、思ったより大変だった」と話しています。その一方で、自分を「周りのアドバイスを聞かず、悩みは一人で解決」してしまう性格であると自己分析しています。マリと同じように、不安があっても抱え込んでしまい、人に助けを求められない人は、一般人にも多いことと思います。あまり深刻にならずに、自分の苦しさを打ち明けられる人が周りにいればいいのですが、大人になるとそれもまた難しい部分があるでしょう。

 そんなときは、SNSを利用したらどうでしょうか。ツイッターに不安なときにつぶやく専用アカウントを作るのです(プライバシー保護のため、アカウントにはカギをかけることをおすすめします)。他のことはツイートせず、「不安なことだけ」をつぶやいてみましょう。とりあえず、不安な気持ちを吐き出せますし、時々タイムラインを遡って眺めてみると、自分が「こうなったらどうしよう」と考えていた不安が、かなりの確率で単なる“取り越し苦労”であることに気づくでしょう。

 まだまだ不安定な時代は、続きそうです。芸能人も一般人も不安を抱えながらの生活を余儀なくされそうですが、不安というものは角度を変えて見てみれば「まだ何も起きていない証拠」と言えるのではないでしょうか。もえのようにお子さんのいるお母さんは特に不安が募りやすくなっていると思いますが、不安をこまめに吐き出しつつ、「今が幸せだから不安になるのだ」くらいに開き直ってほしいものです。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」