一緒にいても幸せにならない……けど、惹かれる
「『半分、青い。』は佐藤健さんが演じた律くんもナイーブで美しくて、好きな人も多いと思うんですけど。やっぱり、マアくん(中村倫也・34)はとてつもなく不思議なキャラで、面白かったですよね」
ヒロイン・鈴愛(永野芽郁)が少女漫画家をへて、発明をなしとげるまでの物語『半分、青い。』('18年)。最高視聴率は24.5%。
「初登場シーンでは、マアくんはいきなりネコを肩にのせていて(笑)。これは中村倫也さん自身のアイデアだったそうです。
当時“ゆるふわ男子”と呼ばれましたが、ゆるふわどころじゃなく、本当にふわっふわ! つかみどころがまるでない。彼女が何人もいるという設定なんですが、その理由を“新しい犬が来ても、前の犬は捨てないでしょ?”という感じで説明し、律から“人間と犬が一緒はマズい”とツッコまれる。
するとマアくんは“でも両方に愛あるよ、俺”と言うわけです。振り回しているつもりもなく、等しくみんな好き。それが真実なんだろうな、と思わされてしまう(笑)。
それでいて、律が想いを寄せるヒロインとは付き合えない、と意外にも友情を大事にするところも。そのプライオリティのわからなさなど、マアくんにはなかなか読めないところがあって。
付き合っても幸せにはならないけれど、でも絶対惹かれる。そんな新しいキャラクターでしたよね」
朝ドラ史上、少女漫画度ナンバーワン!
「天陽くん(吉沢亮・27)は若くして亡くなってしまうことも含めて、朝ドラの中でこれほどまでに少女漫画感を丸出しにしたキャラは過去、いなかったんじゃないかと思います」
『なつぞら』('19年)は戦災孤児だったヒロイン・なつ(広瀬すず)が、アニメーションの世界へと飛び込む物語。最高視聴率は23.8%。
「天陽くんはとにかく輝いていましたね。出てくるだけで、画面の雰囲気がパッと変わるというか。ただ出演シーンはそれほど多くないので、天陽くんが出演しない回は“ワイプでいいから映して!”という声があったくらい(笑)。みんなが“天陽待ち”だったんですよね(笑)」
出演回はもちろんSNSのトレンド入り。出なきゃ出ないでトレンド入り。
「ものすごくSNSを騒がせたキャラで。もともとは、クラスで仲間外れにされていたヒロインを、最初から偏見なく付き合ってくれた幼馴染でもあって。
そして、絵にひたすらに打ち込む姿も魅力。“絵を描きたいということと、便所に行きたいってことは同じ”と語る素朴さと本能。そんなところも素敵でした」
アニメーションという夢のために北海道から東京に行くヒロインを、
「“俺はなっちゃんが好きだ。それはこれからも変わらない”って言いながら、送り出す。けど、自分はさっくり結婚してしまう(笑)。
結婚後、再会した天陽くんは髪が若干ボサボサで、緩んだ感じが出ていて。今の結婚生活が幸せなんだな、と複雑な思いにさせてくれる。
朝ドラの中で、互いに想い合っていた人の結婚後の姿を見ることってあまりないので。そのあたりも、面白かったですね」