深い眠りが脳の“ごみ”を除去
運動と食事以外では、睡眠の質を上げることも重要だ。
「深い眠りに入っているときは、脳にたまったごみともいえる疲労物質が掃除され、認知症の原因となる物質が蓄積しにくくなることがわかっています。最適な睡眠時間は人によって異なりますが、眠りの浅い方は、日中に運動するなど、深い睡眠が得られる工夫をなさってください。若々しい環境で、脳への刺激を保つことも認知機能にはよいので、いくつになっても生きがいを持つことも忘れないようにしたいですね」
最後に家族が認知症になって困っている人へのアドバイスをいただいた。
「認知症になった方が、怒りやすくなったり、興奮したりして、トラブルになるケースが少なくありません。以前はこういった患者さんには向精神薬が処方されていましたが、GABA神経の再生を誘導するサプリメントを3か月くらい服用することで、症状が落ち着くことがわかっています。認知症改善の研究は日々進化しているので、専門家に相談しながら、上手に付き合ってください」
【白澤先生が提言! 認知症に効く生活習慣】
(1)添加物を避けて、まんべんなく食べる
多様な栄養素をとることが脳の健康維持につながる
(2)運動をする
背骨と筋肉を意識して鍛えること。寝たきりにならない身体づくりを
(3)刺激を保つ
脳に刺激を与えられるよう若々しい環境に身を置く
【白澤先生がすすめている最新治療法】
(1)機能性脳波検査や前頭葉機能評価などの各種検査をして、その人に合った治療をする
神経幹細胞を活性化させ、栄養学に基づいた解毒を続けることが基本。多くの人に効果が表れているという
(2)背骨を動かす
背骨を動かすことは、神経系の刺激になり、脳を活性化してくれる。積極的に動かすようにしよう。GYROTONIC(R)(ジャイロトニック)というメソッドがおすすめ
(3)グルテンフリーの食事
小麦に含まれるグルテンが脳の萎縮や炎症に悪影響を及ぼすため、パンやパスタ、小麦入りのそば、うどんなどの小麦製品は避けたほうがよい
(4)GABAの活用
精神を安定させる神経伝達物質・GABAのサプリメントの服用で、興奮状態にある患者さんが落ち着き、認知機能が改善することがわかっている
1958年神奈川県生まれ。医学博士。白澤抗加齢研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長。千葉大学予防医学センター客員教授。千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。2007年より'15年まで順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。寿命制御遺伝子やアルツハイマー病などの研究が専門。
(取材・文/紀和静)