その代表格は、風間俊介だろう。『3年B組金八先生』第5シリーズ(1999年放送開始)の兼末健次郎役は、鮮烈だった。見るからに不良の生徒ではなく、表面上は完璧な優等生でありながら陰でほかの生徒を操り悪事を扇動するという複雑な役柄を演じ、凄みさえ感じさせたのが風間だった。現在は、主演も助演もこなす得がたい俳優に成長している。

 風間俊介は、生田斗真とともに俳優でありながら歌手デビューしていない、いわゆる「俳優組」のひとりだ。風間と生田は、ジャニーズJr.時代Four Topsという4人組ユニットのメンバーだった。残る2人は、やはり「俳優組」である長谷川純、そしてこちらも俳優系ジャニーズの中核を担っていた山下智久であった。

 彼らはみな、1990年代後半からの「ジャニーズJr.黄金期」のメンバーである。リーダー的存在だった滝沢秀明もそうであったように、この世代からは数多くの俳優系ジャニーズが生まれている。

 嵐のメンバーも、同じ黄金期を支えた。なかでも二宮和也松本潤は、現在の俳優系ジャニーズを代表する存在だ。二宮は、映画ドラマを問わずその演技力を高く評価され、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など数々の賞を受賞している。松本は、『99.9-刑事専門弁護士-』(TBSテレビ系、2016年放送開始)などのヒット作の主演を務め、2023年放送予定のNHK大河ドラマ『どうする家康』の主演も決定している。

ジャニーズが演じる群像劇の魅力

 次に成功の条件としてあげたいのは、魅力的な群像劇との出会いである。

 1990年代以降も、学園ドラマでジャニーズが注目を集めるケースは少なくない。ただし、時代も反映してか、学園ドラマの設定や役柄も昔に比べ多様化している。先述した『3年B組金八先生』の風間俊介の場合もそうだ。堂本光一と堂本剛、山田涼介などもそれに当てはまるだろう。

『ごくせん』シリーズ(日本テレビ系、2002年放送開始)の松本潤亀梨和也などはいかにも学園ドラマらしい不良生徒役だったが、エンタメに振り切った演出もあって、その個性的な魅力が際立っていた。その後松本と亀梨がそれぞれ出演してヒットした『花より男子』(TBSテレビ系、2005年放送開始)と『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系、2005年放送。山下智久も出演)も、設定や物語にひとひねりのある学園ドラマだった。

 またいまや俳優系ジャニーズを担う存在になりつつある重岡大毅も、コメディタッチの学園ドラマ『ごめんね青春!』(TBSテレビ系、2014年放送)での生徒役が注目されるきっかけのひとつだった。