妻を女性として扱うことが軽視される現状

 夫婦の難しさについても、ハセキョーは2019年放送の『グータンヌーボ2』で率直に語っています。田中みな実が「結婚した後も男女の関係でありたい」と発言したところ、「(男女の関係は)なくなると思います」と答えたハセキョー。お子さんが生まれることで、男女というより子どもを中心にしたチームになることを経験を交えて話していました。確かに子どもが小さいときは、夫婦が男女でいることは難しいでしょう。しかし、だからといって、夫婦が男女でいる努力を放棄していいのかというと、それも違うように思います。

長谷川京子。ママ友と談笑したり、子どもの応援をしたり、電話をかけたりして1日中、動き回っていた('16年10月)
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【写真】ハセキョーと新藤晴一、有名私立小の入学式で目撃した「仮面夫婦の距離」

 子どもをなした夫婦だからこそ、相手を異性として称えることがお互いの信頼や自信につながっていくこともあるのではないでしょうか。日本では妻が夫に女性として扱ってほしいと要求すると「いい年して」「気持ち悪い」と言われがちです。もう女性として扱われなくてもいいという人もいるでしょうが、女性として愛されたいという人がいても、それがおかしなことだと私は思いません。

 特にハセキョーように独身時代、さんざんモテてきたであろう人が、結婚して妻となり、母となった途端に「はい、もうお母さんなんだから、子育てだけしてください」ではつらすぎるでしょう。収入の高い人の税金が高いのと同様に、モテる人を妻にしたのなら、夫はその妻を喜ばせる努力をよりしなければいけないのではないでしょうか。

 それなのに、有名な夫婦カウンセラーのセンセイ方(だいたい女性)は、夫婦円満のコツとして「妻が夫をほめろ」「夫が傷つくので、セックスは断るな」と口をそろえておっしゃる。あのぉ、センセイ方、妻の気持ちをいつも無視するのはなぜですか?

 ハセキョーの離婚は、妻を称える、妻を女性として扱うことが軽視されている現状と、いい妻である自負がある人ほど悩み、ときに病むという日本の結婚のヤバさをあぶりだしたようにも思えるのでした。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」