ケース3 義母が胃がんになったら 〜障害が残り要介護となってもサポートあり〜
悪いことに胃がんがかなり進んでいて、手術で胃を全部切除することに。医療費がかさみ、また体重が著しく低下して要介護状態に……。
高額医療費で税金還付「医療費控除」
年間の医療費が高額になったとき、申請すると税金が優遇される制度。どのがんでも適用できる。
「保険適用外の治療費や薬局で購入した薬代、通院や入院のための交通費など、さまざまなものが対象になります」
家族全員の医療費を合算して10万円を超えると申告でき、最高で200万円が控除の対象になる。
この制度は、確定申告をすれば誰でも利用することができる。会社員の場合は年末調整とは別に申告が必要だ。
手厚い支援が受けられる「介護保険」
がんが原因で介護や日常生活の支援が必要になった義母。このような場合に、さまざまな介護サービスを約1〜3割の自己負担で受けられる制度がある。
40歳から64歳までは特定疾病のみ介護保険サービスが利用でき、これにがんが含まれる。介護福祉士や訪問介護員による介護、介護用品の貸し出し、住宅改修費の支給などが用意されている。
「在宅で介護する場合、手すりやスロープを取りつけるリフォームが必要になることも。同一住宅、同一人につき原則20万円までが支給されます」
家族の介護で休職したら「介護休業給付金」
がんになった義母の介護のために娘の自分が仕事を長く休むことになり、収入が激減。そんなときにもらえる給付金がある。
「2週間以上休む必要があり、給料が2割以上減ってしまった場合、復職を条件に、給与の67%が通算最長93日間、3回まで支給されます」
家族の介護には大変なことも多いが、休業中も収入が保障されるのは心強い。
介護の対象は配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹など幅広いので、いざというときに活用したい制度だ。
■もらえるお金メモ
医療費控除
①誰がもらえる?
→確定申告した人
②いくらもらえる?
→最高200万円が控除対象
③申請先は?
→税務署
介護保険
①誰がもらえる?
→40歳以上の人
②どんな支援?
→20万円まで介護保険でリフォームできる。
自己負担1割(世帯収入が多い場合は2〜3割)で各種介護サービスが受けられる
③申請先は?
→市区町村
介護休業給付金
①誰がもらえる?
→雇用保険に一定期間加入していた人
②いくらもらえる?
→給与の67%
③申請先は?
→勤務先管轄のハローワーク
教えてくれた人は……黒田尚子さん
●ファイナンシャルプランナー。セミナーや講演の講師、新聞・書籍・雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談など幅広く行う。『がんとお金の本~がんになった私が伝えたい58のアドバイス』(ビーケイシー)など、著書多数。
〈取材・文/後藤るつ子〉