しかしいざ出演してみると、思っていたものとは違っていたという。
「好き勝手言っているように見えた出演者の方も、番組でのディスカッションが盛り上がるようにあえて反対意見を言ったり、嫌われ役を買って出ていたというのがわかったんです。むしろ世の中的に好感度の高い方のほうが空気を読まず正論を言うだけなので、そっちのほうが性格が悪いなと思いました(笑)」
代打出演が好評だったことから翌年の4月からレギュラー出演をするように。活躍の幅を広げ、現在はキー局の情報番組でも活躍中だ。
「『5時に夢中!』は出演歴が長いこともあり、ロシア人であることや僕がゲイであることを視聴者が知っているという体で発言をしています。一方、キー局はより幅広い層が見ていると思うので、“僕もゲイですが~”と説明を入れて発言をするように心がけているのが大きな違いですね。でも多様性が認められている今、ゲイは売りにすることでもないと思うので、話題が出たり話を振られない限りは言わないことにしています」
心配性な性格ゆえ、一時は同じトークをしないよう、披露した内容をエクセルでまとめていた。
「見ている方に“また同じ話をしている”と思われるのが怖くて、テレビで話したことをすべてパソコンで管理していました。その話を『5時に夢中!』の司会を務めるふかわりょうさんに話したところ、同じエピソードでも番組や話し方によって反応は変わる。だから表でまとめるのはやめたほうがいいと言われ、そこからはトークの内容がかぶることも怖くなくなりました」
谷原や永島アナの努力を目の当たりに
とはいえ、まだまだ心配性な部分は残っていて……。
「番組で話すネタがなくなるのはイヤなので、今は寝る前にその日の出来事や感じたことをボイスメモで残しています。『めざまし8』の谷原章介さんは本番の何時間も前に入って打ち合わせをしている。永島優美アナはアクセント辞書を持ち歩いていてボロボロになるまで読み込んでいるんですよね。そんな共演者の努力を見ているので、自分だけ何の努力もせずに出演するのは申し訳ないですね」
本来は芸能ゴシップなどには興味がないそうだが、現在は暇さえあれば目を通す。
「そういう日々のチェックが番組で役立つんですよね。渡部建さんの不倫を番組で取り上げた際、夫に不倫をされた経験のあるタレントさんが出演していて、不倫を許して離婚しない妻のほうが寛大でいい……みたいな雰囲気になったんです。でも僕は不倫を許さずに離婚をすることも立派な選択で、許した人だけが正しいみたいなのも違うなと感じたんです。そんな意見を言ったところ、多くの共感の声が届いて驚きました」
そのときに、コメンテーターとしての自分の在り方を強く感じたという。
「大多数の共感を得られるであろう当たり障りのない意見より、少なくても強い共感を得られるほうがこの仕事をしていてうれしいと感じましたね。僕の意見で救われる人がいるなら、仕事をした甲斐があるなと思います」