不安のない老後を過ごすために
また、運用収益が非課税になる「つみたてNISA」や「iDeCo」の併用も重要なポイントだ。例えば、「つみたてNISA」で毎年40万円ずつ、20年間積み立て購入を続け、仮に5%の利回りで運用できた場合、通常口座では約114万円かかる税金が免除される計算だ。
「どちらも専用の口座で積立投資信託を買った場合に税制優遇を受けられるという国が用意した制度なので、使わない手はありません。つみたてNISAとiDeCoには細かな制度上の違いがあるので、自分に合ったものを選んでみるといいですよ」
口座を開設して購入する銘柄を決めたら、あとは月々貯金のように積み立てるだけ。投資信託の基準価額は日々変化するが、積み立てで長い時間をかけて少しずつ買い続ければ結果的に購入金額は平均化され、いつ買うかといったタイミングに悩む心配もない。
「分配金は再投資をするコースに設定しておけば、複利によって時間がたてばたつほど投資の効果が上がります。最初は微々たる利益しか出ませんが、長期にわたって粘り強く続けていきましょう」
堅実に資産を増やせる投資信託だが、どのようなリスクが考えられるのだろうか。
「もちろん価額が下がった場合には多少の損失が出ることがあります。ただし、紹介したようなインデックスファンドの価額は乱高下することは少なく、基本的に市場に成長の可能性がある限り価額は上がっていきます」
右のチャート図を見ると市場が安定したものではないことがわかる。一方、長期で見ると暴落しても、3~5年で回復し、右肩上がりに成長することがわかる。
「大切なのは、価額が下がったとき慌てて売却しないこと。むしろ追加で購入したり、積立額を徐々に増やしていくことで、結果的に大きな資産を築くことができますよ」
大化けとはいかなくても、堅実にお金が増やせる投資信託。人生100年時代に経済的な不安のない老後を過ごすためにも、さっそく始めたい。
●フィナンシャルプランナー・横山さんがズバリ! 投資信託のオススメ銘柄
【楽天・全世界株式インデックス・ファンド】
全世界への株式投資で構成される銘柄。楽天・バンガード・ファンド(楽天VT)とも呼ばれ、楽天投信投資顧問と世界的投資運用会社のバンガード社が提携して実現した商品。
【eMAXIS Slim 全世界株式(オール・ カントリー)】
『投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year』で2年連続で1位になった人気銘柄。この商品も全世界への株式投資によって構成されており、世界中のさまざまな企業に分散投資できる。
【楽天・全米株式インデックス・ファンド】
『楽天・全世界~』とは異なり、米国株だけに特化して運用される銘柄。「全世界に比べてリターンも高く、多少のリスクをとってもいいという方にはオススメ」(横山さん)
●日経平均株価過去100年の推移と市場の暴落
社会の動向によって株価の暴落は何度も起こっており、市場の動きは必ずしも読めるものではない。一方、長期で見ると右肩上がりに成長していくこともわかる。
※本記事は記事内に登場する個別銘柄を勧誘、推奨するものではありません。過去の実績は将来の投資成果を保証するものではなく、銘柄の選択などの投資にかかる最終決定は、ご自身の判断にてお願いいたします。
お話を伺ったのは……横山光昭さん●家計再生コンサルタント。株式会社マイエフピー代表取締役社長。シリーズ累計90万部を突破した『貯金感覚でできる3000円投資生活 デラックス』(アスコム刊)ではたくさんの事例をもとに投資信託の始め方をわかりやすく紹介。
《取材・文/吉信武》