直撃取材にみせた“歯切れの悪い対応”
前出の上田氏によれば空き家問題の根底には、このような「所有者と近隣住民との認識の違いがある」と言う。
「空き家のそばで暮らす近隣住民からすると“何もしない所有者は悪い人だ”となってしまう。一方の所有者は空き家のすぐ近くに住んでいないケースが多く、リアルタイムの状況を見ることも聞くこともなかなかしづらいんです。日々の生活や仕事もある中で所有者も“ちゃんと管理したい”とは思っていても、だんだん疎かになってしまうんです」(上田氏)
だが放置しておけば、リスクはさらに大きくなる。
「いちばん怖いのは放火。空き家は人の目が届きませんし、敷地内にゴミなどがポイ捨てされやすく、放置されていれば、マッチ1本で火をつけられてしまいます。火災が発生して延焼となれば、損害賠償を請求されることもありうる。状態の悪い空き家を何年も放置しておくのは非常に危険なんです」(上田氏)
かような現状に、神田はなんと答えるか。都内にある自宅前で実家の現状について尋ねると、何とも歯切れが悪い。
「僕はあそこには住んでいないんですよ。あれはおばあちゃんの家で。(同じ区画に)全部で3軒あって、僕は別のほうに住んでいたんで……」
はて、あの家以外に神田や親族が住んでいた家屋はないはずだが……。近隣住民の声を伝えると、
「……今後、管理、掃除はするようにします。仕事の打ち合わせがあるので、もう勘弁してください」
現代社会を悩ませる空き家問題。自身で管理ができない場合は代行業者に依頼することもできるはずだ。