石に宿る“壱成のタレントパワー”

「別に石を売ろうとしているワケではないんですけど」

 眠れない夜の雑談、という名目ではじまったそのライブはすぐさま即売会と化した。

「まぁ〜いい石ですね。リラックス効果があります」そう言って右手に巻かれたものを画面に近づける壱成。動画の終わりにはにはブレスレットとネックレスの2点が売れた。

 動画のなかで彼は「あまり石で稼ぐつもりはない」「(値下げして)売上げ度外視」とのセールストーク(?)をしつつ、2万円だったネックレスを1万8000円、最終的に「今買ってくれるなら」と1万円まで値下げしていた。

インスタライブでパワーストーンを販売するいしだ壱成.。写真のアクセサリーは値下げされた
インスタライブでパワーストーンを販売するいしだ壱成.。写真のアクセサリーは値下げされた
【写真】パワーストーンをじゃらつかせてセールストークを繰り広げる壱成。「フェミ男」時代の超イケメンショットほか

 石の効果を否定するわけではないが、動画をみていると彼が“タレント性”ありきで石を売っていることがわかる。

「僕が2〜3ヶ月大切につけていた」右手のブレスレットが1本売れると「実はあるんですよ、もうひとつ」とまた腕に装着して画面に寄せる。オマケでいしだ壱成のサインもついてくる。配信中に「好きな顔のタイプは?」との質問を受ければ、「一色紗英ちゃんかな」とかつての共演女優の名前を挙げた。懐かしい。ファンサービスがすごい。石に宿るのは、輝かしき過去のタレントパワーである。石はパソコンで検索して個人で仕入れているらしいが、それを聞いてしまうとどうも……。そんななか、視聴者が驚く出来事が。

──配信が終わる数分前、突如、ガーン! と激しい音がしたのだ。同居している妻が立てたものであろう、ドアを勢いよく閉めたか、蹴ったかといった音。パワーストーンをじゃらつかせていた壱成は真顔で数秒間、固まった。そして何事もなかったかのように配信を続けたのである。ライブのなかで彼は、部屋が暗い理由について、妻が節約のために消したのだと明かしていた。

 SNSをたどると、妻の飯村は近所のラーメン屋でバイトをしていたとある。そして、いしだ夫婦はその店先で規格外の野菜を定期的に販売していたとも。詰め放題200円。写真をみると幸せそうだが、これでは稼げないとパワーストーンに手を出したのかと想像するとどうも切ない。何も石を販売しているのが悪いというわけではない。うつ病を患ってなかなか就職先がみつからないとも公言しているし、芸能人だけに色々と事情を抱えているというのもわかるのだが。

 離婚が報じられた翌日、壱成はインスタグラムを更新。娘が猫を抱く写真をアップして「これからは娘のために精一杯生きていきます」と投稿している。その2時間後にアップしたのは、ガーデンクォーツというパワーストーンだった。

〈皿乃まる美・コラムニスト〉