軟禁状態だった自宅での生活

「もちろん自宅よりは不自由だと思います。ですが、自宅での生活は、近所の目もあるし、マスコミも押し寄せるし、嫌がらせもあったので、ほとんど軟禁状態でした。だから、刑務所での生活はかえってホッとしているかもしれません」

実際に被告の自宅に送られてきた、嫌がらせの手紙
実際に被告の自宅に送られてきた、嫌がらせの手紙
【写真】飯塚受刑者の自宅に実際に送られてきた“嫌がらせ”の手紙

 飯塚受刑者は過失事件だったため、一般的に懲役刑より軽いと言われる禁錮刑となったが、

「強制労働がないため、ほとんどの時間を1人で過ごすことになり、心細いでしょうね。健康状態もいま以上によくなることは考えにくいですし」

 刑務所の面会は、親族であれば月に2回は可能だ。しかし、親族にとって単純に喜べることではなく、

「刑務所は結構、辺鄙(へんぴ)な場所にあってアクセスが悪いんです。それに毎回、手続きも大変ですからね。飯塚さんの奥さまもかなりの高齢ですし、この状況はかなりキツイのではないでしょうか……」

 刑務所では基本的に、親族以外の面会はできないことになっている。また、手紙のやりとりは可能だが、発信や受信には制限が多い。

「他人の面会については、しばらくは無理でしょう。手紙についても、例えば“扱いが悪い”“施設がひどい”など刑務所の不備などをもし書いたとします。それがメディアに漏れたら、あれだけ有名になった方なので多くに報じられてしまい、問題になってしまう。だから、法務省も慎重になっているのではないかと思います」

 順調にいけば、3〜4年で出所できる可能性もある。だが、90代の受刑者にとっては一日一日がサバイバルだ、と阿部さん。

「たとえ3年だとしても、飯塚さんは93歳になっている。生きているうちに出てこられるのでしょうか……」

 最晩年を刑務所で過ごすことになった飯塚受刑者の胸中はいかに。