容疑者は、ボヤを起こした一軒家を30数年前に購入。妻、長男、次男と4人で住んでいた。

「当時から近所づきあいをまったくしない家でね。容疑者はスラッと背が高くて、おとなしい感じの人でした。酒に酔っている姿や、おかしな行動はいっさい見たことはなく、近所とのトラブルもなかったですよ」(近所の住民)

 他の住民も、

「“詩吟の教室に通っている”と聞いた。若いのに珍しい人がおるな、静かな人やなと思うた」

 だが15年ほど前、容疑者一家は1.5キロメートルほど離れたマンションに引っ越したという。同マンションの住民によると、

「いつの間にか旦那さん(容疑者)がいなくなって、奥さんとお子さん2人になっていたんです」

 引っ越しから2年後、容疑者は妻と離婚。

「その後、容疑者が妻に復縁を迫るも、拒否。孤独を募らせた容疑者が無理心中を企てて、長男を刃物で刺しています」(前出・社会部記者)

 当時の捜査関係者によると、長男をはじめに殺害し、元妻と次男も道連れにしようとしていたと供述したという。長男は一命をとりとめ、容疑者は殺人未遂で逮捕。懲役5年の刑になったが、3年ほどで出所している。

 容疑者は一体どんな人物だったのか。大阪市此花区に生まれ、父親は板金工場を経営していた。

「そこらを遊び回る元気いっぱいの子ではなく、おとなしかった。そろばん塾に通っていましたね」容疑者が通った小学校の後輩)

 父親の仕事に憧れて、兄とともに実家で板金工として働いた。だが30年ほど前に父親が他界すると、実家の跡を継いだ兄とのいさかいが多くなり、別の板金工場で働くことになったが……。前出した通り、一家心中の事件を起こしてしまう。

過去にもあった“火災”事件

 実は出所から数年後、容疑者が住んでいたと思われるマンションで火災が起きていた。

「丸々1部屋が焼けていました。その火元になった部屋の住民男性がいま考えると、年齢や背丈が容疑者と似ているんだよね。その男性は“コンビニに行って、帰宅したら布団が燃えていた”と言っていたようです」(同マンションの住民)

 容疑者の行先行先で火災が起きているのは、単なる偶然とは到底思えないが……。

 捜査関係者によると、谷本容疑者は一酸化中毒による蘇生後脳症の状態で、事情聴取ができるような回復は難しいという。事件の真相究明は、暗礁に乗り上げている。