いしだは逮捕直前、交際していた女優と破局。また、一般女性との二股発覚で別の女優と別れてもいる。その女優は当時がんで闘病中、一般女性は自殺未遂も報じられた。そんな野島ドラマみたいな人生を送るような人だからこそ、彼はその世界にうまくハマったのではないか。

 ただ、それ以外の作品では今ひとつ冴えない。しかも、人生の脚本はもっと残酷だった。かつて“フェミ男”人気を二分した武田真治が筋肉俳優として再ブレイクしたのとは対照的だ。

「まさか家族に騙されるなんて……」

 いしだは昨年11月に小誌で、これまでの人生を激白。人気絶頂のころ、事務所の代表でもあった父からギャラを「搾取」されていたことも明かした。事業失敗の補てんに使われていたという。

父も最初から騙すつもりはなかったと思うのですが、うつ病で思考がネガティブになっていたこともあって“まさか家族に騙されるなんて……”と、どんどんマイナス思考になっていきました」

 と言いつつ、離婚を告白した雑誌では「ぼくと父は何か欠落している。やっぱり“同じ生き物”な気がします」という共感的な発言も。年末年始は父のもとで過ごすと話していたいしだ。「運がよければ芸能界に戻れるかも」と、希望も口にしていた。

 ここから見えてくるのは、彼の今後である。アルバイトまでしてくれていたという妻に去られた以上、メディアに出て、そのぐだぐだな人生を売っていくしかないのではないか。父も一緒なら、それなりに稼げるだろう。少なくとも、陽のパワーが感じられない石を売るよりは──。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。