協会からの補助金が廃止に

 今回大津高校には1000万円もの金額が集まった。

「試合に出場するメンバーだけでなく、応援団の宿泊費などもあるので、準決勝・決勝と都内に滞在したことでそこそこお金はかかっているはずですが、おそらく余って強化費などに充てられますね。

 高額が集まって、余ることはしばしばあります。余剰金は練習着であったり、トレーニング用具の補修や購入などに充てられます」

大津高校は決勝で青森山田高校と対戦し、惜しくも準優勝だった
大津高校は決勝で青森山田高校と対戦し、惜しくも準優勝だった
【写真】高校サッカー選手権決勝の舞台となった新国立競技場

 大津高校が資金不足となった背景には、事前の寄付金不足だけではない理由がある。

「前回大会まで選手権の出場校には、日本サッカー協会から補助金が支給されてきたのですが、今大会においては廃止されました。それも大きな理由でしょう」(前出・サッカーライター、以下同)

 背景の、さらに背景もある。

「日本サッカー協会は深刻な“資金難”で、昨年末に'22年には46億円の赤字を見込んでいることを発表。また、サッカー協会の事務所である東京都文京区にある『JFAハウス』の売却が検討されていることが報じられました。

 約60億円で購入した地上11階、地下3階のビルです。売却するか否かは今年の8月までに結論を出すようです。ただ強化部などサッカー協会の中枢はすでに千葉県幕張に拠点を移しており、売却はほぼ確定ではないでしょうか」

 しかし、お金がない一方で……。

ヨーロッパに日本代表の拠点となる施設を建設する計画があります。場所はドイツでグラウンドと併設のクラブハウス。建設には数億円がかかり、維持費も億単位でかかるといわれています。

 今回大津高校がこのような事態になったことで、“代表に注ぐお金があるなら子どもたちに……”という声も上がりました。コロナ禍で代表の試合が中止になるなどで、これまで入ってきた興行収入が大幅に少なくなっている事情はあるのですが……」

 コロナ禍は日本代表という“ドル箱”を持つサッカー協会にも影響を及ぼしているが、協会は子どもの未来をつぶすことのなきよう……。