当時の状況について、大京をグループ会社にもつオリックス株式会社の広報担当者にも話を聞いた。
「当時の経営方針については詳しく回答できませんが、大京がマンションの供給戸数で日本一を目指していたことは間違いありません。
その後もお客さまの幅広いニーズに対応するため、商品や立地などにおいて、より質の高いマンションを供給してまいりました。
また、10年ほど前からは、住宅などの社会インフラを長持ちさせることで地域活性化や環境負荷の軽減を目指すストック事業とマンション供給の両輪経営を社の方針として掲げております」(オリックス株式会社不動産広報チーム・亀田有子さん)
供給戸数こそ減少したものの、近年も首都圏・地方を問わず新築ライオンズマンションのヒット作は数多く生まれている。
こだわり抜いた質のいいマンション
広報の亀田さんによると、現在のライオンズマンションは断熱や省エネ性能に優れ、太陽光発電などによって“創エネ”もできる「ZEH(ゼッチ)」と呼ばれる基準を満たした環境性能のよい物件開発を進めているという。
「質のよいマンションというのは、基本構造がしっかりしているのは当然ですが、住み心地をよくする細やかな工夫も多いです。
環境への配慮はもちろん、管理費を下げつつ修繕をしやすくしたりという工夫も必要。
そういった観点でも、近年のライオンズマンションは質にこだわった物件が増えています。
私が10年以上、独自に調査を続けているマンション人気指数のデータでも、広島県のライオンズ広島リバーゲートや、福岡県のライオンズミレス西新など、特に地方のライオンズマンションのヒット作が目立っていますね」(櫻井さん)
首都圏ではどうしても土地の値段が高くなってしまい、マンションの売値が上がってしまう。分譲マンションの価格を抑えるためには建物の質を下げざるをえず、居住性が落ちてしまうことも考えられる。
そういったところで無理にマンションをつくらず、地価が高騰していない郊外で看板となる新築マンションをつくる不動産会社も多くなっていると櫻井さんは分析する。
「マーケットの状況や都心部の価格高騰という局面において、郊外ではより好立地にて供給ができたため、結果的にヒットといわれるライオンズマンションが多く生まれています。
もちろん、地方に特化して供給をしているわけではなく、神奈川県のライオンズ横濱瀬谷ステーションスクエアや、石川県のザ・レジデンス金沢など、好評をいただいている物件は全国にあります」(亀田さん)