地元議員が問題視したシーン
一方で、人気に乗り切れなかった“幻のモデル地”も。
「『文藝春秋』で'13年に小説が発表された際、映画で三浦透子さんが演じた女性ドライバーの故郷は、北海道の中頓別町という実在する町でした。しかし、女性ドライバーがタバコをポイ捨てするシーンがあり、それを見た主人公が“中頓別ではみんなが普通にやっていることなのだろう”と誤解を招くような表現が文中にあった。これを地元の議員が問題視したのです」(前出・スポーツ紙記者)
原作者の村上氏は騒動後、
《これ以上のご迷惑をかけないよう、単行本にする時には別の名前に変えたい》
と、マスコミ各社にFAXを送付。単行本では架空の上十二滝村に変更になっている。
「映画が話題になるにつれ、“町おこしのチャンスを失った”と、中頓別町に対し厳しい意見が増えています」(前出・ネットニュース編集者)
実際、中頓別側はどう思っているのか? 町役場の担当者に問い合わせると、原作の設定が変更されたことで、
「肯定的な意見が12件、否定的な意見を44件ほどいただいていました。町おこしになりえたかという質問につきましては、回答を控えさせていただきます」
原作の表現を問題視した宮崎泰宗議員は、声を上げた経緯をこう語ってくれた。
「火のついたタバコを車から投げ捨てる表現の中で、地名が強調されることに違和感がありました。また“1年の半分近く道路は凍結している”といった描写もあり、実際とは大きく異なるイメージを持ってほしくないという思いからの行動でした」
町おこしのチャンスを失ったのでは? という問いには、
「同じ道内からでもアクセスがいいとはいえず、有名な観光スポットがあるわけでもありません。町名が変更にならなくても、訪れる人はそう多くなかったのではと思います」(宮崎議員)
確かに最寄りの空港のある稚内からでも100キロほど離れていて、町内には鉄道も走っていない。訪れるには不便な場所のようにも思えるが、
「問題視された部分は、映画版ではカットされています。故郷のシーンは北海道の赤平市で撮影されましたが、設定が変わらなければ中頓別でロケが行われていたと思うので、町のPRにつながったでしょう。ただ原作の表現では悪いイメージがつく可能性があったので、当時の議員の行動も仕方がないのでは」(前出・ネットニュース編集者)
次回作では“いい町”のモデルにしてほしい!