女子アナは通過点に過ぎない

 そんな先輩に続けとばかりに、入社から5年経った2019年3月に同じくTBSを退社した宇垣美里。以後はタレント活動をメインにコスプレ姿を披露したり、CMやドラマにも多数出演。さらにフォトエッセイやコスメ本などを出版するなど、活躍の場を多岐に広げている。

「特に宇垣さんはそれが明確に見えましたが、もとより“アナウンサーとしてずっとやっていきたい”のではなく、入社時より腰かけと言いますか、“とりあえずアナウンサーになって知名度を上げてからタレントになりたい、女優になりたい”という目的の女子アナも少なくはないと思います」(佐々木氏)

 では、彼女たちに共通する、テレビ局を退社してフリーになる決断をする「5年」の期間にはどんな意味があるのだろうか。

「一般企業においても“3年”は、これはまだ早い気がします。個人差はあれどもテレビに5年間出ていれば世間からの認知度があり、知識や経験も重ねて人脈も広げていると思います。そもそもがアナウンサーになれる優秀な人材ですからね。それでいて27歳、28歳と若さもありますから、彼女たちが転職をする一番いい時期なのでしょう。

 才色兼備のイメージが強くブランド力が高い“女性アナ”ですが、今の若い女性にとっては“なりたい職業”ではなく、“なりたい自分になるための職業”に変化しているのかもしれません。テレビ局にとっては、優秀な“人材流出”はたまったものではありませんが(苦笑)」(佐々木氏)

 テレビを見ないという世代だけに、若手アナの意識もまた変化しているのかも。