「いまさら西部警察じゃねえだろう」
1999年の都知事選で初当選すると、応援してくれた俳優・渡哲也さん(故人)や舘ひろしさんら“石原軍団”とともに弟・裕次郎さんの墓前に勝利報告した。故人の眠る場所で鏡割りやバンザイをするなどいささかやりすぎた感もあったが、選挙戦で弟の力を借りたのは確か。
街頭演説では、裕次郎さんの代表作のひとつである刑事ドラマ『西部警察』のテーマ音楽を流し、聴衆に向かってマイクを握ると、
「裕次郎の兄です」
と挨拶してつかみはOK。
都知事就任後、折に触れて「俺のほうが裕次郎よりも歌がうまい」「のどを痛めたが、本当は裕次郎よりいい声」などと張り合うように話した。
2003年夏、裕次郎さん没後も制作が続いていた『西部警察』のロケで事故が起きると、都庁の定例会見でこう述べた。
「石原プロの幹部が来て“裕次郎さんに怒られたんだと思います”と言うから、そのとおりだと言っておいた。昔のマネばかりせず、新しいことを考えたほうがいいよ。いまさら西部警察じゃねえだろう」
テーマ音楽を使っているわりに、それは棚にあげて言いたいことを言う。さらに、
「それじゃあって、いまのスタッフが『東部警察』にするかどうかは知らないけどさ」
と笑いを誘った。