“生きじまい”を初めて考えたのは11年前
いとうといえば、終活を始めていることでも話題に。出棺時には尾崎紀世彦の『また逢う日まで』を流すと決め、番組企画で遺影もすでに撮っている。
「そもそもは、映画『エンディングノート』( '11年)を岡江久美子さんにすすめられて見たことかな? 初めて生きじまいについて考えて。人はいつ死ぬかわからないという意識は、そのころから強いかも。
それに、昔の遺影って旅行のときの写真を切り抜くから画素数がひどかったじゃないですか。だから、今の自分を残していって、死ななければポートレートでいいなと思っていて」
ロケで、親友の大久保とお墓を見に行ったことも。
「“近くにおいしいおそば屋さんがあったら、みんな来てくれるかな?”と、南葉山に。すごく高くて、手が出ませんでしたけどね(笑)」
50代を迎えても身体を張ったロケに挑み続ける姿勢はとても尊いが、今後をどう考えているのだろう?
「昔からずーっと、“今後どうなる”みたいなのはなくて。ここ数年は“生きる”を目標にしています(笑)。生きるってすごく楽しいけど、難しいし、しんどいことだと思うので。夢は、近所の子どもたちが笑う変なおばさん、かな?
死ぬ間際、集まってきた子どもたちに“みんなに言っておきたいことがある。来週の水曜に……”で旅立つ(笑)。“えっ、水曜に何?”“あさこばーさん!”って大騒ぎになるんだけど、“でもどうせあの人のことだから、水曜には何もないんだよ”ってみんなが笑い、寿司を食べる。そんな葬式だったら素敵だなって思いますね。でも、臨終間際にそんなに頭が回るなら、まだまだ生きそうな気がしますけど(笑)」
もう次の女の元へ行った!?
撮影は'18年秋。映画作品の多くは、撮影後1年くらいで公開を迎えるが……。
「その後全然音沙汰がなかったのに、東京国際映画祭(TOKYOプレミア2020部門出品)に監督・キャストが突然、登壇することになって。そこで佐々木監督は次回作の構想を話されていて。それを私は“もう次の女のところに行ったのね”くらいの気持ちで聞いていて。だから、もう『鈴木さん』は世に出ないんだなと思ったんですけど(笑)、やっと公開が迎えられてとてもうれしいです!」
『鈴木さん』
K2、池袋シネマ・ロサほかにてロードショー中
配給:Incline
(C)映画「鈴木さん」製作委員会