活動期間は平均6か月、職種の偏見を捨てるべし
実際の職探しは最後のステップだ。ここまでの2段階を踏んだうえで始めるのと、いきなり職を探すのとでは雲泥の差。気持ちの準備が整って初めて、実際の求職活動をするのが正解だ。
公的、民間の就職支援機関を使いながら、応募を繰り返し、職が決まるまでの活動期間は平均6か月程度。それまでにもうすうす気づいてくるものの、改めて理想と現実のギャップに打ちのめされたり、不採用が続いて落ち込むこともあるだろう。妻としてもショックだが、ここではぐっとこらえて決して夫を追い詰めないこと。
「プライドがあって弱音を吐いたり、愚痴を言うのが苦手な男性も多いですが、ひとりで考えすぎて行き詰まるのがいちばんよくない。
奥さんが受け止めてあげて、よき理解者、相談者になってあげること。人と話すうちにその会話の中で気づきが得られ、また前向きな気持ちで活動に臨めると思います」(村野さん)
たとえ職が決まっても、ほとんどの場合、希望どおりではないだろうが、たとえ当初のイメージとまったく違うものだとしても落胆することはない。
それは年月を経て夫が社会に果たす役割が変わっただけのこと。夫の新たな役割を気持ちよく応援したい。結局は妻にとってもそれが得なのだから。
リタイアした夫を気持ちよく働かせる3ステップ
《ステップ1》夫婦で話し合って、働く意味を整理
まずは、この先のライフプラン、マネープランを夫婦で共有すること。いつまで、どのくらい働くのか、特に経済的に働かなければならない場合は、いつまでにいくら収入が必要なのかを明確にしたい。
妻としては、傍観者ではなく当事者感覚を持つことが大切。「働いてくれてありがたい」「元気で働けてすごいね」などの声かけで夫のモチベーションアップを。
《ステップ2》何でもいいから、セミナーや講習会に行かせる
いきなり求職活動を始めるのではなく、まずはゆったりとしたペースでスタート。無料の相談やセミナーなど、なんでもいいから行かせられれば大成功。視野が広がるので、そこから自然に意識改革へとつながるはず。
この時期は仕事の探し方や職種の仕事内容など、シニアを取り巻く仕事事情が理解できればOK。同じような境遇の仲間や体験者談を知る効果も大きい。
《ステップ3》希望職種を絞って求職活動
シニアの仕事事情がつかめ、自分の希望もはっきりしてきたところで実際の求職活動スタート。就職支援機関は大きく分けて2種類ある。
ハローワークに代表される公的機関は地域にもよるが、職探しに役立つサービスが充実していて、履歴書の書き方指導や面接対策などの無料セミナーも。民間のいわゆる転職サイトでも、シニア部門が設けられている会社もあり、利用価値大。
〜妻が持つべき心得3か条〜
【1】決して責めない、強制しない
【2】情報提供はさりげなく
【3】協力者、相談者の意識を持つ
〜夫に持たせるべき心得3か条〜
【1】働くことを前向きに捉える
【2】プライドやこだわりを捨てる
【3】社会の役に立つ喜びを感じる