'22年の幕開けとともにスタートした冬ドラマ。3月も後半になり、クライマックスへと盛り上がりを見せる作品もあれば、すでに最終回を迎えた作品も。放送が始まる前はワクワクしていたのに、始まってみたら肩透かし。あの期待値はどこに行った!? そんな“がっかりドラマ”を、ドラマに精通する2人のライターの吉田潮さんと同じく田幸和歌子さんに聞いた。
ネット上などでは地味と言われていることが多い今期の冬ドラマ。吉田さんは、
「そうですか? 今期はわりといい作品が多かったですけどね。中でも『恋せぬふたり』(月曜22時45分~NHK総合、放送終了)、『おいハンサム!!』(土曜23時40分~フジテレビ系、放送終了)、『シジュウカラ』(金曜深夜0時12分~、テレビ東京系)はベスト3だと思います。
『恋せぬふたり』は“アロマンティック・アセクシャル”という、他人に恋愛感情や性的欲求を感じない男女2人(高橋一生、岸井ゆきの)を被害者意識だけではない描き方をしていて。すごくよかった。中学校の教材にすればいいのにと思うほど。NHKが切り込むべくして切り込んだという感じがします」
そして、田幸さんもその3作に笑顔で同意。
『DCU』は笑えるほどの規模縮小感
「『おいハンサム!!』は、吉田鋼太郎さんを筆頭とした役者も脚本も素晴らしかったです。“令和の頑固おやじ”という、昔から少しアップデートされた父親像もすごくよかったですし、伊藤家の全員が魅力的。周りのダメ男たちまで芸達者で。いちばん面白かったですね」(田幸さん)
視聴率が好調なのは、日曜劇場『DCU』(日曜21時~TBS系、放送終了)と月9『ミステリと言う勿れ』(月曜21時~フジテレビ系)。ともにスタートから2桁をキープし続けている。そんな高視聴率作品の片方に、ふたりが総ツッコミ。
「海上保安庁の全面協力、ハリウッド大手プロダクションとの共同制作……『DCU』は鳴り物入りで始まりましたよね。でも、いろんな要素をてんこ盛りにすればするほど怪しいというか、危ない予感は最初からありました(笑)」(田幸さん)
海上保安庁に新設された、水中の事故や事件の捜査を行うスペシャルチーム“DCU”。隊長の新名(阿部寛)を筆頭に、水中に関する難事件を解決していく物語となっている。
「手錠を持ったダイバーの話かと思いきや、水中シーンが圧倒的に少ない。最初のうちは、ちゃんと海に潜っていたんですよ。だけど、それが水族館となり、前回(3月13日放送)ではついに温泉に潜ってましたから(笑)。そのうち、ビニールプールに潜るんじゃないかと思いました。
今までずっと“刑事ドラマばかり”と文句を言ってきた身としては水中、そして海上保安庁と切り口に変化をつけてきたところは評価したかったんですが、笑えるほどの規模縮小感・尻すぼみ感で、もはやギャグ。楽しみは、阿部さんの濃~い顔が水中でも映えることくらいですね」(吉田さん)