「潜水シーンが少なく、画に厚みがなくペラペラで、ハリウッドはどこへ行ったんでしょうか?(笑)。予算の関係もあるとは思うんですが、コロナのせいで当初考えていた海外での撮影もできなかったんでしょう。前クールの日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』と同じ失敗をしているように見えます。
そもそも、日曜劇場は『半沢直樹』('13年、'20年)が当たりすぎたせいで、もうずっと“半沢病”ですよね。“ここは盛り上がるところ!”“ここは感動するところ!”と押し付ける仰々しい音楽にもついていけません。
そして今作の阿部寛さんのセリフはなんだか聞き取りづらいし、横浜流星さんも感情の行方がわからないキャラクター。本来、繊細な芝居をされる方なのに。この日曜劇場というテイストに、役者さんをはめ込ませることでいろんな被害者が出ている気がしますね」(田幸さん)
ふたりがともに挙げた“がっかりドラマ”は『DCU』のみ。ここからは、それぞれががっかりした作品を見ていこう。
「つまらなくはないんですが、主演が黒木華さんということで期待してしまった分、ちょっとがっかりしたのが『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』(木曜22時~フジテレビ系、放送終了)ですね」
とは、田幸さん。大手出版社のネットニュースサイト『カンフルNEWS』は閉鎖の危機に。そこへ経理部から異動してきた凛々子(黒木)がPV(ページビュー)を伸ばすべく奮闘。
脚本家が違ったら……
「主人公・凛々子のキャラクターは無表情で空気が読めず、でも仕事はバリバリ……というステレオタイプ。この役だと、黒木さんの演技力が生かされてないですね。もったいない。また、同じフジテレビの『ミステリと言う勿れ』で菅田将暉さん演じる久能整くんとビジュアルも含め、キャラがカブってしまったような」
ぐるぐるマフラーに淡々としたしゃべり。そしてボリュームのある髪型。違いはモワモワか、モジャモジャか……。さらに田幸さんは脚本にも言及。
「題材がネットニュースということで、もっと深く掘り下げられたんじゃないかなと思います。社会問題など大事なテーマも扱っていますが、ディティールが雑だったり、薄かったり。もっとしっかり見たかったですね。
近年やったドラマで、社会問題という切り口だったら脚本が素晴らしいのは、やはり野木亜紀子さん。『アンナチュラル』('18年)にしても『MIU404』('20年)にしても、すごく丁寧に取材を重ねたうえで、複雑な要素を作品に盛り込むなど、脚本力がとても高い。
またニュースという切り口なら『知らなくていいコト』('20年)や『和田家の男たち』('21年)を書いた大石静さん。“実際、こんなじゃないよね”という極端さもありながら、エンタメとしてしっかり楽しませつつ、ニュースの世界を描くのはすごくお上手。野木さんか大石さんの脚本でこの作品は見たかったなと思います」
さらに、田幸さんは『愛しい嘘~優しい闇~』(金曜23時15分~テレビ朝日系、放送終了)にも渋い顔。中学の同窓会で再会した仲良し6人だったが、その面々は次々と亡くなっていく……。