もう1本、海外で今も飲める可能性があるのが、スイスの乳清炭酸飲料『リベラ』だ。
「ヨーグルトの上澄みである乳清を使ったジュースで、日本ではカゴメが輸入し、国内販売をしていました。ハーブの香りがして、身体によさそうな味わい。現在もスイスや周辺国では売られているようなので、海外に行けば再会できるかもしれませんね」
数々の商品が生まれては消えていった、約70年の日本の缶ジュースの歴史。清水さんにとって懐かしジュースの魅力とはなんだろうか。
「手軽に買うことができる身近さこそがジュースのいいところ。自分が飲んでいた時代や、当時の記憶を呼び起こす“記憶のスイッチ”みたいな要素も魅力のひとつですね」
今飲んでいるジュースも、いつか思い出とともに懐かしむ日がくるのかもしれない。
清水さんセレクト!懐かしジュース10選
『維力』(ウィリー) ポッカ/1987年 植物エキスによる酸味とすっきりした甘味が特徴の、中国由来のスポーツドリンク。
『B&L』(ビター アンド レモン)カルピス/1979年代
レモンの苦みが特徴的な、大人向けのレモン飲料。1998年に復刻されるも、発売中止に。
『ピコー ストレートティー』 (Pekoe)サントリー/1993年
商品名は茶葉の等級「ペコ」が由来。同社が『リプトン』を発売した2001年に終売となった。
『IMO コンダク』(アイ エム オー)カゴメ/1986年
さつまいもが原料。白濁した『コンダク』、透明な『クリア』、炭酸入りの『タンサン』があった。
『サスケ』(SaSuKe)サントリー/1984年
コカ・コーラに対抗する商品として登場したものの、わずか1年後、1985年に販売終了。
『リベラ』(rivella) カゴメ/1984年
スイスを中心に発売されている、乳清炭酸飲料。国内ではカゴメが輸入販売していた。
『はちみつレモン』サントリー/1986年
ハチミツとレモン果汁を使用した、言わずと知れた清涼飲料水。ホットでも楽しめる。
『花紅茶』日本たばこ産業/1990年
かすかにバラの香りがする無糖紅茶。1990年に登場したあと、1998年にも再販された。
『ジャズイン』(JAZZ'INN)ペプシコ/1990年
紅茶の炭酸飲料。後の缶デザインには「スッキリ飲める紅茶です」の一文も追加された。
『あったまるこ』サントリー/1990年
缶を顔に見立てたデザインの柑橘系ドリンクで、サントリー『なっちゃん』のお姉さん的存在。
お話を聞いたのは……
清涼飲料水評論家 清水りょうこさん
1964年、東京都生まれ。1980年代から、飲料関係の記事やコラムを執筆し、各種メディアにも登場。思い出の昭和ジュースの数々を誌面の許す限り網羅。『日本懐かしジュース大全』辰巳出版・刊/1320円
取材・文/吉信 武 写真協力/久須美雅士、スタジオ クライン