目次
Page 1
ー 楽なグリーン車にタダで乗りたかった
Page 2
ー もうひとつのセコすぎ本性
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ー 不正総額は1030万円の試算も

「背が高く、スレンダー体型を維持し、おしゃれなスーツを着こなしていました。健康管理が完璧で、食事は納豆ご飯だけで平気なんだそうです。いつもニコニコ、柔らかい表情で“こんにちわ〜”と挨拶してくれたのに、こんな恥ずかしい事件を起こすなんて」

 と地元の70代女性はため息をつく。

 恥ずかしい事件が発覚したのは5月8日のことだった。

 現職の国会議員になりすまし東海道新幹線のグリーン券などをだまし取ったとして愛知県警中村署と鉄道警察隊が逮捕したのは、岐阜県中津川市に住む元参院議員の会社役員・山下八洲夫容疑者(79)。1983年から旧社会党などで衆院議員を4期、98年から旧民主党で参院議員を2期務めた元ベテラン議員だ。

 同県警によると、詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑い。

 全国紙社会部記者の話。

「衆・参両院の議員に公務用として付与される『国会議員鉄道乗車証(JR無料パス)』を落選後12年経つというのに不正使用し、胸襟に議員バッジをつける工作までして乗車券代わりに駅員に見せていた。有効期限1年のパスは当然期限切れ。しかし、過去の経験則から、じっくりと見る駅員はいないためバレないと確信していたようだ」

 乗車券はこのようにスルーしたが、新幹線に乗るには特急券が別に必要になる。

楽なグリーン車にタダで乗りたかった

「東京―名古屋間の新幹線グリーン車の往復チケットを入手するため『国会議員指定席・寝台申込書』に実在する議員の名前を書いて本人を装った。たまたまチケットの誤発行に気づいた駅員が当該議員に連絡したことで“なりすまし”が発覚。“昔を忘れられず、楽なグリーン車に無料で乗りたかった”などと供述し、継続的な悪用をほのめかしている」(同・記者)