Youtuber介入で別のいじめ問題も発覚
ユーチューバーがいじめに介入する事態を専門家はどう思うのか。千葉大学教育学部の藤川大祐教授は、「動画を見る限り、学校側に問題があります」と指摘する。
「ユーチューバーは保護者から委任状を取る手順を踏んでいるうえ、説明も一貫しています。しかも、動画をいきなり公開したわけではありません。学校がきちんと対応したなら、流さないつもりだったとも言っている。学校側が悪質なので、このような手段を取らざるをえなかったことがよくわかります」(藤川教授)
また、学校問題に取り組む鬼澤秀昌弁護士は「ユーチューバーが取り上げ、世間から批判があったことで市教委が動いた構図は、ブラック校則が問題になったときと同じ」と分析。さらにこう続ける。
「学校側からすれば“やめてくれよ”と思うかもしれませんが、ネットが普及した今の時代、今回のようなやり方を一定程度は許容せざるをえないでしょう。学校側は、SNSで拡散されたとしても批判に耐えられるぐらいの判断を固めておく必要があります」(鬼澤弁護士)
動画の公開から1か月後、男子生徒とその保護者、加害生徒とその保護者による話し合いが設定された。
「その結果、加害生徒は男子生徒と関わらないことになりました。ただ、加害生徒の保護者は、少なくとも動画投稿のタイミングでは、いじめ行為を学校側から知らされていませんでした」(石田さん)
今回の動画を投稿したあと、石田さんにはいじめの相談が増えた。相談者のなかには男子生徒と同じ高校に通う女子生徒もいて、別のいじめ問題も発覚している。
'21年2月ごろから女子生徒は同級生とトラブルがあった。学校側はいじめと認めなかったため保護者が市教委に連絡、いじめと認知された。しかし、それ以上の対応がなされず'22年1月に退学したという。この女子生徒のケースも、石田さんへの相談をきっかけに市教委が調査に乗り出す事態となった。