生活保護の財源は税金だ。“税金の無駄遣い”という声も少なくなかった。

「税金ってみなさんもはらっているものだから、生活保護を受給することで“人のお金でご飯食べて……”って考える人が結構多い。でもそう考えてしまうと、本当に苦しくてどうしたらいいかわからない人が行き場を無くしちゃう。私は本当に最後の最後に行ったのが福祉課だったので。そこに行く勇気が無かったら、今どうなっていたかもわかんないですし……。

 本当にいつ何が起こるかわからないじゃないですか。誰もが金銭的に悩んで生活保護という道を選ぶかもわからない。本当にそうなったときに感じることって、当事者じゃないとわからないと思うんですよね」

 一方で応援のメッセージも少なくなかった。

「批判の声に対して、私ではなく第三者として“国が定めた権利”だと説明してくださった方もたくさんいました。すごく嬉しくて助けられて、それがなかったら怒りのまま終わっていたかもしれません。“なんでこんなこと言われなきゃいけないんだ”って。共感してくださった方も多くて、似た境遇の方が“一緒に頑張りましょう”と言ってくれたり。すごく嬉しかったです」

家族に“もう迷惑をかけないでくれ”

 実は生活保護を受給しだすタイミングで、大谷と家族の関係に“変化”が生じていたという。

「家族に“もう迷惑かけないでくれ”と突き放されたタイミングでした。家族からそのメールをもらったときは今も覚えています。“もう私は終わった……”って。乗っていたバスの中で泣いてしまって。家族にはお母さんの面倒を任せちゃったり負担をかけていた。家族もいっぱいいっぱいで、私もいっぱいいっぱいという感じでしたが、何かあれば助けてくれる存在として頼りすぎていたところがあったと思います」