そして、暢子ら兄妹たちの母で、仲間由紀恵(42)演じる優子についても多くの批判が寄せられているのだ。

優しすぎる仲間由紀恵演じる母・優子

竜星さん演じる賢秀が警察のお世話になったり、ハンバーガー店の器物損壊で賠償金を負ったりしたにもかかわらず、母の優子は𠮟らないんですよね。

 母としてすべてを包み込む、子どもたちのことを全部受け入れるという姿勢は、賢秀に限らず、暢子の強引な上京を許すなど作中の描写として一貫しています。どうしてこういう母になったのか、というのは今後、深く描かれるのでしょうが、そもそも賢秀を許し続けた優子のせいで多数のトラブルが起きている、とフラストレーションが溜まってしまう視聴者も多いようです」(前出のテレビ誌編集者)

ちむどんどん』の視聴者からは、「兄はただの悪知恵働く詐欺師。ヒロインは厚顔無恥の礼儀知らずバカ。そいつらを生み出した優しいだけのバカ母」といった声や、「特に優子さん!お母ちゃん!あなたは1番賢秀を叱らないとダメでしょ!その甘い態度が賢秀をどんどんポンコツにしてるの、まだ分からんの」「沖縄の優子ママと賢秀の関係、これ無理」「脚本もあの脚本を通す演出も倫理観とかまともな感覚持ってないの??」など、かなり熱がこもった過激とも感じられる意見がSNSに寄せられている。

 主人公・暢子、兄・賢秀、母・優子の「ムカつきポイント」に加えて、『ちむどんどん』には、ドラマ全体の細かい設定が甘い、といった指摘も上がっている。

細かい設定が甘い

 具体的には、暢子が調理場で髪の毛を結んでおらず、衛生上あり得ないという意見や、一家は多額の借金を抱え貧乏だという描写の一方で、暢子は東京ー沖縄間で頻繫に電話できるのはなぜか、竜星演じる賢秀が東京から沖縄に帰ってくる旅費はどう工面したのか、といった金銭面でのリアリティについても疑問の声が上がっている。

それ以外にも、暢子が働くレストランの調理場で使われている醤油がプラスチックのボトルに入った現代社会でおなじみの容器だったのですが、劇中の1970年代は主にビンに入っていたのではないか、といったディテールについても指摘されていますね。そして、暢子がトイレ掃除をする際にコックコートを着たままなのも気になる、という指摘もあります」(前出のテレビ誌編集者)

 また、ドラマの演出面も視聴者が『ちむどんどん』に興ざめしている一因のようだ。

「しつこい」と受け取られる演出

「上白石萌歌(22)演じる末の妹、歌子と学校の音楽教師の下地響子役の片桐はいり(59)の“追いかけっこ”が“しつこい”と受け取られてしまっていますね。

 歌子は引っ込み思案なのですが歌が上手いということを下地に知られ、歌うように迫られるのですが、そのたびに逃げていたんです。そのやりとりが約3週間くらいに渡って続いたため、“もういいよ”と感じた人は多いようです」(前同)

 過去最低視聴率に近づき、ネットが荒れ、仕舞いには朝ドラ受けの大吉がエクスキューズをする事態にまで至っている“超嫌われ朝ドラ”『ちむどんどん』――。

「これまでの非常にフラストレーションがたまる内容、展開は、今後の大きな感動や共感を得るためのマイナスのフリで、見事な大逆転が待っている――ということを期待したいですね。

 ただ、現状ここまで視聴者離れ、そして視聴者からの反発があったのは、制作サイドとしては想定外だったのではないでしょうか。今後、ドラマも、登場人物のことも好きになる素晴らしい展開が待っていると考えられますが、肝心なそのときにはもう見る人がいない、ということにならないといいですよね……」(同)

 視聴者を「ちむどんどん」(=胸がワクワクする)させてくれるのは、いったいいつなのだろうか――。