雨がきれいだからプレゼントしようと
次男が役の年齢に近いという中村。
「子どもから出てくる言葉や行動って、やっぱり純粋だなあと思いますね。僕たちも同じ道を通ってきたはずなんですけど、いろんな欲や感情に流されて、いつの間にか失ってしまった。ルイとケイは、特にその純な部分が強い子どもだなと思います」
そんな中村自身は、8歳のころどんな少年だったのだろう?
「ちょうど歌舞伎座の『八月納涼歌舞伎』に出演するようになったので、舞台に立てているという喜びと楽しさを初めて味わえたのが、8歳くらいでしたね」
そして、純粋さあふれるこんなエピソードが。
「僕自身は覚えていなくて、母から聞いた話なんですが。ある雨の日に、びしょ濡れで帰ってきたそうなんです。傘を持っていたのに。なぜ傘をささなかったのか聞いたら、雨がすごくきれいだったから、傘を逆さにして裏に雨をためてお母さんにプレゼントしようと思った、と答えたんですって。そんな純粋な時があったんだ!と。とうの昔になくしてしまったなあ(笑)」
中村少年の素敵なエピソードは、さらに続く。
「不思議な子どもだったみたいですよ。うちの坂の下に川があるんですけど、ある日、家に“お子さんが3時間くらいずっと川を見ているけど、大丈夫か?”と連絡が来て。行ってみたら、僕だったんですって。そりゃあ、子どもが3時間もひとりで川を見ていたら、心配になりますよね(笑)。かといって、友達と遊ぶのが苦手とかひとりの世界が好きだったとか、そういうわけではないんですが」
こちらも本人は覚えておらず、川で何を見ていたのかもわからないとのことだが、では今、もし何かを見続けるとしたら、何を見る?
「ずっと見続けられるものといったら、僕は猿山ですね。動物園でいちばん好きな場所。あそこのコミュニティーの中でいろんな力関係があったり、それぞれの猿で性格がさまざまだったり。見ているとわかってくるので、面白いんですよ」
ということは、ルイと同様、自然が好きなのかと思いきや。
「僕はルイくんとは真反対。土とか、そこで裸足になることがすごく苦手で。だって汚れるじゃないですか(笑)。海も好きじゃないから、泳ぐならプールのほうがいいし。植物は嫌いではないし、お花を妻にプレゼントしたりするのは好きなんですが、コバエが心配なので、なるべくコバエが出ないような花を選びます(笑)」
ストーリー的にも視覚的にも、新しいものが詰まった今作。
「日々イヤなニュースが続く状況ですが、だからこそ感じ取ってもらえる部分がある作品だと思います。今までに見たことがないものを見られると思うので、ぜひお楽しみに!」
自分好みの庭を作るとしたら?
「僕は純和風のものが好きなので、庭も和な雰囲気がいいですね。形から入るタイプなので、どこかのお寺のお庭をまねて、それで満足しちゃいそう(笑)。凝った感じではなく、枯山水のような落ち着く庭にしたいです」
スペクタクルリーディング『バイオーム』
■日程/6月8日〜12日
■会場/東京建物 Brillia HALL