特別扱いに対する不公平感
過去には人気俳優の兵役逃れが発覚して問題になったこともあるなど、韓国国内では想像以上にデリケートな問題として扱われているという。
「兵役にまじめに取り組まないと国民から大変な非難を浴びることになります。すでに兵役を経験した成人男性や、子どもたちを兵役に出している親からすると、芸能人だけ特別扱いすると不公平感が残りますから。将来の活動を考えるうえで兵役を避けるのはリスクが大きいですし、BTSのメンバーもそのあたりはよく理解していると思いますよ」(康氏)
国民的スターであるBTSとはいえ、韓国国民の“兵役免除”への嫌悪感は簡単には拭えないようだ。
しかし、兵役は負の側面ばかりではないという。
「俳優のヒョンビンは、訓練が厳しいことで知られる海兵隊に自ら志願して入隊。兵役中に男らしさとたくましさに磨きがかかり、除隊後にはドラマ『愛の不時着』で演じた軍人役などで新たな魅力を開拓。入隊前以上に支持を得ています。BTSも、芸能界と切り離された軍隊では自分自身としっかり向き合う時間が持てますし、個人としての成長も期待できます」(前出・韓国事情に詳しい芸能プロ関係者)
徴兵制度によって追い込まれたBTSだけど、今度は“個”の力で再び世界を席巻してくれるはず!
康熙奉(カン・ヒボン)作家。'54年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係に関する著作が多い。主な著書に『韓流スターと兵役』(光文社新書)など