ネット環境を整えツールの導入を
これら複数の目で見守るのに加え、工藤さん自身がもっとも頼りにして多用するのが見守りツールの数々。イチ押しは「見守りカメラ」だ。
「親の家にネット回線さえあれば導入は簡単です。見守りカメラを購入し、リビングなど親がよくいる部屋に設置すればいいだけ。撮影される親の表情や様子は、スマホやパソコンを通じて見ることができます。録画機能付きの機種なら、記録された映像をあとで見ることもできますよ。私の場合は1台4000円程度のものを実家に4台設置。おかげで親の転倒などのケガをいち早く知って対処できたり、地震発生時の安否を即確認できました」
親のプライバシーが気になる人は、カメラ以外の手段もある。スマート電池やスマート照明(左参照)などで親の動きを感知できる。
「ツールを使いこなせば有料のサービスに頼らずにすむため、費用を安く抑えられます」
次は、リスク別に見守りのポイントを解説してもらおう。
見守りカメラ以外の見守りツールは?
スマート電池
テレビのリモコンなどに、スマート電池をセット。リモコン使用状況がアプリで確認できる
スマート照明
電球LEDにSIMが内蔵。トイレなどに設置し、照明の使用がしばらくない場合、通知メールが
活動センサー
センサーで部屋にいるかどうか、活動量はどれくらいかなど、行動の履歴や異変がわかる
運転見守りサービス
車のシガーソケットに挿し、移動したルートや急加速・急ブレーキなど運転の様子がわかる
【熱中症】これからの季節危険度ナンバーワン!
室温を遠隔管理、衣替えも重要
本格的な夏の到来はもう間近。今年も危険な猛暑が予想されている。
「高齢者は暑さを感じにくく、体温を調節する機能も鈍くなります。熱中症のリスクが高まるため、何より警戒しなければなりません」
熱中症の予防にはエアコンを活用したいところだが、高齢の親はエアコンを敬遠しがち。そこで子のほうで遠隔管理するすべがある。
「『スマートリモコン』を使うやり方です。スマホのアプリと連動し、親がいる部屋の温度、湿度をリアルタイムで把握。暑いときにはアプリ操作でエアコンのスイッチを入れられ、部屋の温度が何度以上になったらオンにするなどの予約設定もできます」
価格は5000円前後から。エアコンに限らず、赤外線を利用する家電はすべて遠隔操作できる。
「衣替えも熱中症の予防につながります。認知症になると季節がわからなくなり、真夏に厚手のコートを着て熱中症をまねくケースも。うちの母も夏場に『今年は雪が少なかったわね』とこぼすのが口ぐせです。なので、いつも夏を迎える前に冬物の衣服を整理する衣替えを徹底しています」