【消費者トラブル】高齢者の心の弱点「お金・健康・孤独」

直接対応させず音声・映像を記録

コロナ禍、親の家にかかってくる怪しげな勧誘電話が非常に増えた」と語る工藤さん。高齢者は「お金・健康・孤独」の3つの不安を抱えているため、電話勧誘販売や訪問販売にひっかかりやすい。消費者生活センターにはその被害が多数報告されている。

固定電話にかかってくる電話勧誘の対策には、着信履歴を残せるナンバーディスプレイが有効です。着信履歴をネットで検索すれば、業者を特定することも可能。迷惑電話の場合、その番号を着信拒否登録し、次回以降の電話をブロックします。大前提ですが、常に留守番電話設定とし、親を電話に出させないことです」

 一方、訪問販売の対策には、録画機能付きのインターホンが便利だという。

高齢の親は不要な商品を買わされたとしても、業者の名前や話した内容などを忘れてしまうことが少なくありません。インターホンの録画には、やりとりの音声や映像が残るため、訪問者を特定できます。親に代わりスマホで子が遠隔対応できる機種もありますよ。録画機能付きインターホンの値段は1万円前後から。電気工事が必要な場合は別途費用がかかります」

【自然災害】ハザードマップは必ず確認しておく

避難支援を申請し地域の手を借りる

 離れて暮らす親が地震や台風などの自然災害に見舞われる可能性は十分ある。工藤さんは「自然災害のリスクが年々高まっている気がする」と危惧する。

「第一に、親が住む地域のハザードマップを確認しましょう。ハザードマップとは、自然災害による被害の軽減や、防災対策に使用する目的で、被災想定区域をはじめ避難場所・経路など防災関係の位置を表示した地図のこと。洪水・噴火・地震・津波・液状化の災害リスクも示されています。これらの情報をチェックしてください」

 次に、親が認知症など健康面に不安を感じていたら、市区町村の「避難行動要支援者名簿」に登録しよう。氏名、住所など個人情報提供への同意を必要とするため、子のサポートが不可欠となる。

「自然災害が発生したときには、行政が名簿記載の要支援者に連絡および自宅を訪問し、避難支援や最寄りの避難所への誘導が行われます。その備えとして、付録のシートに避難先を記載しておくといいでしょう」

工藤広伸さん
工藤広伸さん
教えてくれたのは、工藤広伸さん  1972年、岩手県盛岡市生まれ。遠距離介護の経験をもとにした執筆活動および全国の自治体、企業などで講演を行う。現在も母親の遠距離介護を継続中。著書多数。ブログ「40歳からの遠距離介護」はこちら

<取材・文/百瀬康司>