part2. 閉経後、カラダはどう変わる?

 エストロゲンの分泌が減ると骨や血液へ大きな影響が。早めの対策で閉経後の健康を守ろう

気をつけるべきは骨密度と血中脂質

 女性ホルモンのエストロゲンには、動脈硬化や脂質代謝の異常、内臓脂肪の蓄積など、生活習慣病の原因となる要素を抑え込む作用や、自律神経を活性化させる働きがあるといわれる。つまり閉経前の女性の身体は、エストロゲンというバリアによって守られているのだ。

 ところが閉経後はそのバリアがなくなることによって、さまざまな病気のリスクが上がる。自覚症状はなくとも、身体の変化を意識しよう。

破骨細胞が古い骨を分解し、骨芽細胞がそれを補うサイクルで骨が形成されるが、閉経以降はそのサイクルも乱れ、骨が老化していく
破骨細胞が古い骨を分解し、骨芽細胞がそれを補うサイクルで骨が形成されるが、閉経以降はそのサイクルも乱れ、骨が老化していく
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 鍛えられない顔の骨から減っていく!

 エストロゲンの欠乏と深く関わる病気のひとつが、骨粗鬆症。閉経前後にエストロゲンの分泌が急激に低下すると、骨量が減少、骨密度も低下し、骨折しやすくなってしまう。

「骨密度が低下しやすいのが、閉経してから最初の2年。その中でも、もっとも減りやすいのが顔の骨です。とくに下顎の骨が減りやすい部分です」(関口さん)

 鏡を見たとき、昔よりも頬がたるんで老け顔になってきたなと思ったら、それは皮膚が下がっているだけではなく、その下の骨の影響も大きいというわけだ。

 
閉経後の骨を守るためには、健康な骨を作るための栄養素をとることが重要。カルシウムをはじめ、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムを骨に定着させるビタミンKなどを食生活に取り入れよう。

血管

目には見えないところで着々と悪化する

 閉経して3年ほどたつと、今度は血管の問題も浮上する。

女性ホルモンの恩恵を受けているうちはその働きにより、脂質異常症や高血圧になるリスクが男性に比べて圧倒的に低い。しかし、閉経を境に女性にも高血圧・生活習慣病が増え、割合的には男性を追い抜きます」(高尾さん)

 閉経してエストロゲンが作られなくなると、血液中のコレステロールが余り、やがて血管の内側に張りついて硬くなる。それが動脈硬化を引き起こすのだ。脳梗塞や心筋梗塞などの重い病は、動脈硬化が原因の血栓によって引き起こされる。

 ただし、脳梗塞や心筋梗塞が起こるまでは動脈硬化を起こした状態で少なくとも10年はかかる。リスクは確実に上がるが、早期発見して手を打てば、回避できるのだ。毎年の健康診断で血液の状態もチェックすることを忘れずに。