次点も含めて、いずれの世代にも支持されている曲が『希望の轍』。桑田が'90年に監督を務めた映画『稲村ジェーン』の劇中歌として発表された作品だ。

「サザン20周年のコンサートの1曲目がこの曲。それですごく印象に残っています」(愛知県 39歳女性 会社員)

「当時、好きだった人と映画館で一緒に映画を見ながら聴いた曲です」(北海道 42歳男性 会社員)

 この曲はサザンの中でも“特別枠”と、スージーさんは話す。

「キーボードの原坊が出産のために、'86年4月にサザンは1年間の活動休止に入りました。僕はそれ以前を“初期サザン”と呼んでいます。実験的でラジカルな楽曲を多数出しました。それ以降は日本を代表するバンドになったので“メガサザン”。

『希望の轍』は'90年の発表ですが、“初期サザン”の薫りがするんです。『勝手にシンドバッド』『いとしのエリー』が野球の打順でいうところの3番バッター、4番バッターなら、『希望の轍』は5番、6番。“いぶし銀”のような存在です。

 大ヒットした『TSUNAMI』を今聴くと、僕は少し懐かしいと思ってしまうのですが『希望の轍』は永遠に色褪せない感じがするんです」

 この曲の立ち位置がわかりやすいのが、'18年の『紅白歌合戦』だとスージーさんはこう続ける。

「平成最後の『紅白』で大トリをつとめ、『希望の轍』『勝手にシンドバッド』と2曲演奏されました。もはや国民的愛唱歌と言ってもおかしくない『勝手にシンドバッド』に並んだということで、この曲がどれだけの力を持っているかがわかりますよね」

 サザンといえば、さまざまなタイプの楽曲でファンを飽きさせない。中でもエロ路線の曲はファンの間でも評価が分かれる。

「ものすごいタイトルと歌詞だな、とインパクトがあったことを覚えています」(熊本県 42歳男性 自営業)

「この曲をカラオケで歌うたびに爆笑が起こります」(東京都 49歳男性 会社員)

 と、こんな反応があったのが『マンピーのG★SPOT』('95年)。ファンの間では『シュラバ★ラ★バンバ』('92年)『エロティカ・セブン』と合わせて、『エロス3部作』と呼ばれることもあるという。

過激な詞の『マンピーのG★SPOT』。タイトルについて桑田本人は「ほかのフレーズを探したが出てこなかった」と語っている
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「エロを歌うことを目的としているというより、洋楽はもっとエロいじゃない?というのが桑田さんの中にあるのだと思います。

 もともと彼のベースは洋楽。日本語だと歌謡曲はもちろん、ロックでもセックスを直接的に歌うことがほとんどなかった。そういう部分でも日本のロックの歌詞の領域を広げたいという意志があると思います」(スージーさん)