有料のPPVが50万件、翌日の無料放送でも100万人以上の同時接続という状況のなか、サーバーがダウンすることなく配信を終えました。システムが脆弱だった場合、映像が止まったり、サイトにアクセスできなかったりしたでしょう。ネット環境は個々の視聴者で変わるので、画質が落ちたという声も一部で見られましたが、多くの人がストレスなく視聴できたようですね。

 ABEMAは'17年に『亀田興毅に勝ったら1000万円』という、文字通り元プロボクサーの亀田さんにボクシングで勝てば賞金1000万円を獲得できるという番組を生配信し、大変な注目を集めました。しかし、このときはサーバーが負荷に耐えきれず、試合開始と同時にダウン。配信日夜に特設サイトにて無料放送する事態となりました。その“経験”もあり、今回はかなりシステムを増強して配信に臨んだのではないでしょうか」(ITジャーナリスト)

テレビ局がコンテンツを買い負ける時代に

天心とともに今大会の“勝者”となったABEMAに、『THE MATCH』の配信にどのように臨んだのか話を聞いた。

この度『THE MATCH 2022』を配信するにあたり、サーバーの増強やネットワーク帯域の確保を事前に行い、『ABEMA PPV ONLINE LIVE』における過去最高の接続数を想定し、券売実績に対して数倍以上のキャパシティを確保したうえで、配信に臨みました。

 また、当日は、予期せぬトラブルや障害につながるリスクに対して迅速に検知・対応するため、50名以上のエンジニアがリアルタイムでシステム状況のモニタリングを行いました。結果、システム障害が発生することなく、ABEMA PPVの画質についても高い評価をいただき、最高品質の映像を安定してみなさまにお届けできたと感じています」(ABEMA広報担当者)

『K-1』創始者である石井和義氏がイベント終了直後、自身のツイッターで報告。製作実行委員会の榊原信行氏との“ガッツポーズ”ツーショット写真が添えられて
『K-1』創始者である石井和義氏がイベント終了直後、自身のツイッターで報告。製作実行委員会の榊原信行氏との“ガッツポーズ”ツーショット写真が添えられて
【閲覧注意】天心の試合後、ゴミ溜め場と化した東京ドーム内の様子

 ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏は自身のYou Tubeチャンネルにて『THE MATCH』の配信について触れ、“誰でも見れる” “スポンサー収入だけに頼った”地上波テレビ局のビジネスモデルは「それじゃあ採算乗らない」、「地上波のテレビ局がコンテンツを買い負ける時代になったっていうことが、今回の『THE MATCH』でわかったんじゃないかなと思います」と述べた。

 今年11月にカタールで開催される世界最大のスポーツイベント『FIFAワールドカップ』もABEMAは全64試合を無料中継する。こちらは地上波放送もあるが、視聴者は“どちら”を選ぶか。

 武尊に勝利した天心はボクシング転向を発表。彼には未来しかないだろう。フジに勝利したABEMAは長年、設備投資もあり赤字が続いているが、広告事業やゲーム事業は絶好調。秋のワールドカップ配信も『THE MATCH』同様、未来を明るくする一件となるかもしれない。テレビの未来は……。