映像化は不可能。そう言われ続けてきた山本直樹の漫画『ビリーバーズ』。ピンク映画出身の城定秀夫監督が映画化を熱望したものの、キャストが決まらず何年も企画が止まっていた時期もあったという。そんな中、主人公・オペレーター役を快諾したのは、磯村勇斗。
「原作や脚本を読むと、今までなかったような感覚の物語、そして世界観ですごく感性を刺激されました。“やってみたい”という好奇心でオファーを受けました。躊躇? 全然なかったです」
身体に負担のない減量方法
映画『ビリーバーズ』が7月8日、公開を迎える。孤島で暮らす、とある宗教的な集団に属する2人の男と1人の女。過度な食欲、物欲、性欲などを絶って“俗世の汚れ”を浄化し、“安住の地”を目指すべく修業に邁進していた。僅かなほころび、抑えきれない欲望、むき出されていく本能……。
懲罰で穴に埋められたり、海辺での濃厚ラブシーンなど、NGなしで果敢に挑んだ。
「この不思議なカルト集団を演じることは、人間としても面白かったです。そこにエロスとバイオレンスが加わって。ここまで攻めているものは初めて。すごく実験的で、刺激的で、濃密で充実した時間でした」
本作で映画初主演。3月に、日本アカデミー賞の新人俳優賞に輝いた際には“ようやくスタートラインに立てた”とコメントしたが、役者として陽の当たる道を堂々歩んでいる。
「別に主演だからどうこうっていうのはあまり思っていなかったですね。主演がすごく大切だとも僕は思ってないので(笑)。もちろん作品を背負う部分はあるので、撮影環境には気を配りました。特に濡れ場ですね。自分は男だからいいんですが、北村(優衣)さんへのケアは最大限に考えて進めました」
無精ひげ、そしてこけまくった頬……メインビジュアル公開時には“本当に磯村勇斗?”と話題に。本作のために10キロの減量をした。
「撮影の1か月半くらい前から準備して。身体に負担のない減らし方を自分なりに調べて。具体的にはバターコーヒーを取り入れました」
朝、コーヒーにグラフェッドバター&MCTオイルを混ぜて飲んでいたという。
「満腹感を得られるので、食事量が必然と少なくなっていく。さらに集中力も上がるので、いいことだらけ。だから辛くはなかったですね」
と、こともなげに話す。クランクアップ後、同じ時間をかけて体重は戻したそう。