「サザン佳祐ドッグ」は、桑田佳祐がツナ子さんに頼んで作ってもらった“まかない”から生まれた
「サザン佳祐ドッグ」は、桑田佳祐がツナ子さんに頼んで作ってもらった“まかない”から生まれた
【写真】これが「サザン佳祐ドッグ」!桑田が慕う『清月』のツナ子さん

 店主の高橋ツナ子さんに昔の桑田について聞いた。

「当時はよく店の前で“ローハイド”を歌っていました。道に座って“ローレン、ローレン、ローレン”って。まさか歌手になるとは思いませんでした。テレビに出ているのを見てビックリしましたよ。特別顔がいいわけじゃないから(笑)」

「なんか作って」からファンの聖地に

 桑田との信頼関係は厚く、4年前に店が創業60周年を迎えた際はビデオメッセージが届いたという。

茅ヶ崎市の『清月』店主の高橋ツナ子さん。「今は夜の9時から支度してます。7時に寝てるので、睡眠時間は2時間だけです」
茅ヶ崎市の『清月』店主の高橋ツナ子さん。「今は夜の9時から支度してます。7時に寝てるので、睡眠時間は2時間だけです」

「佳祐は中学時代の3年間、毎日通っていたんですよ。ある日、全部のパンが売り切れだったことがあって。けど佳祐が“お腹減ったからなんか作って”と言うんです。それで、レタス、魚肉ソーセージ、トマトを挟んだものを作ったら、ペロッと3つも食べちゃった。“食った食った”ってお腹をさすっていたのをハッキリ覚えています」

 ただ、ツナ子さんはサザンのファンを相手に“商売”するつもりはなかった。

「うちは加山さんの雄三通りにある店だし、あとから出た佳祐ばかりを応援するわけには……。佳祐は“コンサートのチケット送るよ”と言ってくれますが、自分で買うようにしています」

 だが“思い出のパン”を食べたいというファンは後を絶たず、ツナ子さんはそれに応えてきた。

「仕込みは夜11時からやっていたんだけれど、今は9時からやっています。“辞めないで”ってみんなに言われるけど、もう身体がキツイんです。64年間やって、思い残すことはないですね

 腹ペコで食べたパンの滋味は、桑田もきっと忘れないはずだ。